第一章
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願いは聞く
フェリペ=ポンスはカルロス=アルカーノと高校で知り合いになった、アルカーノは気風のいい若者だった。
その気風のよさに惚れたフェリペは彼とよく一緒になる様になった、カルロスは口は悪いが気風がいいだけではなく。
繊細でもあり気配りが出来た、喧嘩も強くフェリペをよく助けてくれた。
そしてだ、こう彼に言うのだった。
「俺と御前は友達だろ」
「だからか」
「ああ、友達ならな」
それならばというのだ。
「いざって時はな」
「助けてくれるんだな」
「御前が困っててな」
そして、というのだ。
「俺に助けて欲しいんならな」
「声をかけてくれっていうのか」
「ああ、約束するぜ」
明るい顔でだ、カルロスは言うのだった。そのラテン系独特の太い眉に長い睫毛の顔でだ。肌の色は薄い褐色で髪の毛は縮れていて黒々としている。
その顔でだ、何処か細く繊細な感じのフェリペに言うのだ。
「御前に何かあってな」
「御前を呼んだ時はか」
「助けさせてもらうな」
「じゃあ俺もな」
フェリペもだ、カルロスの言葉を受けて彼に返した。
「御前に何かあってな」
「俺を呼んだらか」
「ああ、その時はな」
「来てくれるんだな」
「約束するからな」
このことを、というのだ。
「絶対にな」
「そうしてくれるんだな」
「御前もそう言ってくれたからな」
それなら、というのだ。
「俺だってな」
「俺に何かあったらか」
「ああ、その時はな」
絶対に、というのだ。
「駆けつけるからな」
「そう言ってくれるんだな」
「言うだけじゃないからな」
カルロスの言葉を受けたからこそ言うのだった。
「絶対にな」
「そうしてくれるんだな」
「ああ、絶対にな」
こうカルロスに言うのだった。
「任せてくれ」
「そこまで言うんだったらな」
「ああ、お互いにな」
二人は笑みを浮かべ合って言うのだった、そして実際にだ。
二人はお互いを助け合った、そうして高校時代を過ごし。
フェリペは実家の居酒屋を継いだ、カルロスはシェフになった。カルロスの腕は見事なもので忽ち有名になった。
それでだ、フェリペの店に飲みに行った時にカウンターで自分のその右手を誇らしげに振りながらこう言うのだった。
「もう何だって作れるぜ」
「それも美味しくだな」
「ああ、最高のものを作られるぜ」
そうだというのだ。
「どんなお客さんでも満足させられる位にな」
「言うねえ、それじゃあな」
「それじゃあ?何だ?」
「何か日本の食通で凄いのいるらしいな」
「へえ、あの国にか」
「稀代の美食家らしくてな」
それで、というのだ。
「少しでもまずいものを出すとな」
「何だ?金は
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