第五章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
なんだ」
「そうだよ。それでも御前」
ここで彼はあらためて恵一の顔を見る。それで呆れたように溜息を吐き出すのだった。
「それでも変わらないな」
「何がだい?」
「のろけた顔のままじゃないか」
「そうかな」
「そうだよ」
その顔でまた彼に言うのだった。
「全く。呆れたっていうか何かっていうかな」
「だってさ。本当に可愛いし奇麗で」
これは変わらないのだった。やはり目をピンクのハートマークにさせている。その顔は全く変わらずにただただのろけが続いていた。
「天使でも悪魔でも。本当に」
「岩尾君」
噂をすればだった。ここで。
「ちょっといい?」
「あっ、弥生さん」
恵一は素早く声の方に顔を向けた。信じられない速さだった。
「何かな」
「今度の日曜だけれどね」
「うん」
今の弥生は眼鏡をかけて三つ編みにしている。天使の顔だった。
「遊園地でいいわよね」
「うん、何処でもいいよ」
相変わらずハートマークの目で彼女に応える。
「何処でも。本当に構わないから」
「そうなの。それじゃあまずはそこで」
「その次は」
「それはね」
二人だけの話になる。皆はもう放っておかれた。それでも皆はそんな彼を見ながらも怒ってはいない。呆れてはいるが微笑んでこう言うのだった。
「まあそれでも」
「好きなのならいいか、あそこまでな」
「そうだな」
何だかんだで恵一を暖かく見守っていた。天使と悪魔の顔の間でとろけそうになっている彼を。温かく見守っているのであった。
昼は天使、夜は悪魔 完
2008・5・12
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ