第三章
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「見てみたいものだな」
「そうですか、それでは」
「これからも」
「戦う」
こう話してだ、そしてだった。
アキレウスは多くの戦いの中で猛者達を倒していった、彼はまさに無敵だった。しかしオデュッセウスだけは言うのだった。
アキレウスに危惧を感じてだ、そして言うのだった。
「残念だ」
「残念ですか」
「あの方が」
「アキレウスは頭も悪くない」
策士と言われる彼には流石に劣るがだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あの方は」
「慢心している、己にな」
「そのお身体と武勇故に」
「そうなられていますね」
「そうだ、それがだ」
まさにというのだ。
「あの者の危うさの源だが」
「それでは」
「あの方はそれで」
「滅びることになる」
やはり確信して言うのだった。
「間違いなくな」
「では人にですね」
「あの方は敗れるのですね」
「間違いなくな」
「ではその者は」
「誰でしょうか」
「そこまではわからない」
オデュッセウスも人だ、未来は完全に見えない。彼は予言者ではないのだ。それでアキレウスを倒す者が誰かまでは言えなかった。
しかしだ、それでもだった。
「だがな」
「あの方は人に敗れる」
「そうなるのですね」
「間違いなくな」
こう言うのだった、そしてオデュッセウスが危惧する中で。
ギリシアとトロイアの戦いがはじまった、ギリシアの殆どの都市の兵士と英雄達が参加しトロイアを攻めた、戦いは長きに渡り。
アキレウスは最初は参加していなかったが長引く戦いの中で遂に参戦した、そしてトロイアの英雄達を倒していったが。
トロイア側はその彼について調べてだ、こう話した。
「踵だけが彼の弱点だ」
「そこを攻めれば勝てる」
「トロイアの城壁から城壁の下にいるアキレウスを攻めることは難しいが」
「アキレウスは倒せる」
「それは確かだ」
そのことはというのだ。
「アキレウスは完全に無敵ではない」
「踵を矢でなり撃てば倒せる」
「そうすればな」
「そこに毒でも塗れば確実だ」
「間違いなく倒せる」
このことは何度も確かめられた、そして。
アキレウスの踵をどう攻めるのか、そうした話にもなった。
「アキレウスは攻めてきている」
「城の中にいる我々をな」
「つまり城壁の下にいる」
「それは常だ」
「戦うとすればだ」
「一騎討ちか」
「それが一番か」
こう考えられていくのだった。
「一騎討ちの時に踵を弓矢で射るか」
「ならば弓の名手だな」
「その者を出そう」
これはトロイアの王子でもあるパリスが選ばれた、トロイア一の弓の名手である彼がだ。
そして弓矢には毒、象さえも一撃で倒せる猛毒が塗られることになった。それを塗ってそうしてであった。
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