第三章
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第三章
「お父さんもお母さんも唖然としたわ」
「そうでしょうね」
「それはね」
唖然としない方がおかしい話であった。
「それでプレゼントは奇麗な絹の反物だったのよ」
「絹のって」
「何でそれなの?」
「ほら、弘樹君のお家って大きな呉服屋じゃない」
そこの御曹司というわけである。ついでに言えば彼は華道や茶道もしていてその道にもかなり通じていたりする。行動以外はかなりできていると言っていい人間なのだ。
「だから。それでなのよ」
「反物プレゼントって」
「しかも絹の」
「もうお母さん大喜びで」
麻美はこのことも皆に話す。
「だからあとはもうお母さんは絶対に彼と一緒になれってまで言うのよ。お父さんもね」
「でしょうね。プレゼントに絹って」
「普通ないから」
皆言うのだった。
「まあそれで七夕だけれど」
「今度は何をしでかすのかしらね」
「それがわからないから聞いてるのだけれど」
また苦笑いになって皆に言う麻美だった。
「一体全体」
「七夕っていうとやっぱり」
「織姫と彦星?」
「それよね、やっぱり」
皆腕を組んだり首を捻ったり人差し指を振ったりしながら話す。
「一年に一度しか会えないそんな日」
「ロマンチックではあるけれど」
「そのロマンチックもあれにかかったら」
最早あれ呼ばわりであった。
「どんな滅茶苦茶なものになるやら」
「想像できないわよね」
「七夕までのお楽しみかしら」
皆の話を聞き終えてこう呟いた麻美だった。やれやれといった感じであるがそれでもそこには幾分か余裕も見られる、そんな呟きだった。
「これはね」
「何かんだで期待してる?」
「それで楽しんでる?」
「まあそうかも」
自分でもそれは少しだけ認めるのだった。
「だって私の為にしてくれるんだし」
「まああんな性格だけれどね」
「行動は滅茶苦茶だけれど」
しかし、なのだった。ここが弘樹なのである。
「あんたを好きなのは間違いないしね」
「それはもう一発でわかるわ」
「どうなるかしら」
また言う麻美だった。
「今回は」
「まあ何が起こっても受け止めるしかないし」
「七夕まで待つしかないわね」
これが結論だった。そうして話を終えた。そして運命の日が近付くのだった。
その間弘樹は何と自分の大きな家の庭に竹を一本入れていたのであった。
実に見事な竹である。青く笹も豊かだ。その竹を前にして仁王立ちして言うのであった。
「まずはこれだ」
「あれ、お兄ちゃんまた何かするの」
家のその木の渡り廊下から小さな女の子が見ている。何処かの雑誌に出て来そうな可愛らしい感じの女の子だ。中学に入ったばかりであろうか。
「今度は何するの?」
「知れたこと。七夕だ」
その妹に背を
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