第一章
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んだ?」
「それでよ」
彼等はその時のことも言うのだった。
「一応聞くけれどよ」
「何でなんだ?」
「あれはだ」
そのプールに飛び込んだ理由を自分から話す弘樹だった。
「プールの中に何かが見えたからだ」
「何かって何だよ」
「それが問題なんだけれどな」
「ミズカマキリがいたのだ」
それがいたというのである。所謂水棲昆虫である。
「タイコウチもいた。貴重な水棲昆虫がこのままでは子供達に捕まりいじめられると思ってだ」
「それで保護する為にか」
「プールに飛び込んで逃がそうと思ったんだな」
「左様」
まさにその通りだというのである。
「結果としてそれは成功に終わった」
「それで濡れ鼠で授業を受けたのかよ」
「全く」
「風邪はひかなかったぞ」
胸を張って言う。
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