Interview10 イリス――共食いの名
「分かってても……付いてけないんだよ!」
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アは無言でジュードの頭を小さく叩いた。
「…っ…ミラ…」
呟き、ジュードはレイアの肩に額を押しつけた。
レイアは拒まず、ジュードの頭を腕の中に引き寄せた。ジュードはレイアのジャケットにシワが寄るほどきつく縋って、嗚咽を上げた。
(ジュードにとっての「ミラ」はそんなに特別な存在なんだ。そんなジュードなのに、レイアはジュードを)
初仕事を無事終えたルドガーの胸には、達成感は欠片もなかった。代わりに沈殿した泥のような思いが腹の底で渦巻いていた。
ジュードを慰めるレイアと、そのレイアを食い入るように見つめるルドガー。彼らを見ながらも、イリスは別の事案に思いを致した。
(『ミラ』ね。まさかその名を、マクスウェルの使命とやらを遂行する人間に与えたなんて。よりによって、ミラさまの名を)
イリスは遠くの天を仰いだ。
2000年を経てなお鎮火しない心の炎が、より強く燃え上がっていた。
エルはエリーゼと共に、仮住まいであるカラハ・シャールのシャール邸に帰り、宛がわれた部屋に入った。
リュックサックを下ろし、帽子をサイドテーブルに置いて、ベッドにぽふんと横になった。
「今日は色々あってタイヘンだったね」
「ナァ〜」
ルルはルドガーの飼い猫なのに、何故かエルに付いて来ていた。ルドガーが「連れてていいよ」と言ったのでそうしているが。
ベッドの上で起き上がる。窓から星を見上げた。まるで夜空の中に、星とは異なる天体を見つめるように。
「約束…いっしょに…カナンの地に…ルドガーと…いっしょに…」
エルは両手の平を強く、胸にある祈りを抱くように押し当てた。
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