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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と家出の訳
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るイメージで、そこから腰へ、次に脚へ……最後に拳まで収束させれば、マケンなしで―――もっ!」


 域を強く吐いて言葉を区切った刹那、学園長は一瞬で栗傘まで詰め寄り、拳を思い切り叩きつける。


「うぐっ!?」
「あ」


 『フルメタル』の硬化能力を使った栗傘から、インパクトの瞬間に鉄でも叩くような音がし、彼はその攻撃のあまりの重さにうめく。

 鉄の如く硬化している彼であるからこそ、このでたらめな一撃を受ける事が出来たのだと分かる。

だが、それでも受ける事が出来るだけ。
受け止める事は出来ず、大柄な男の体重でも支えきれない……そう思わせてしまう衝撃が迸り、栗傘は勢い良く後ろへ飛ばされ、体育館の影へと激突してしまった。


「ぬ、う……!」


 意識はあるようだが、身体に残ったダメージからすぐには立てないのか、顔をしかめて座り込んでいる。


 明らかにやり過ぎな雰囲気を悟った学園長は、表情を半笑いから苦笑へ、目が笑っていない笑顔から冷や汗を流しながらの無理な笑いへと、幾度も面相を変えた後、恐る恐る周囲を見渡しながら、人差し指を立てた。

 もう片方の手は頭に添え、御丁寧に片目を閉じて舌まで出している。


「てへっ☆ ……ま、まあ、エレメントの恩恵によりぃ……これだけの事が、出来るって訳―――」
「「「「「出来るかあぁっ!!??」」」」」
「……デスヨネー」


体育館内に居る全生徒から総スカンを喰らい、学園長はカタコトな返事で頭を下げた。


 海童達はというと、運悪く風圧がもろに来る位置へ陣取ってしまっており、碓は後ろへゴロゴロ転がったか尻を上にして制止。
 うるちは軽く背を向けた状態で、顔をヒクつかせて座りこんでいる。

 また、偶然であろうが、海童は手を床について上に、イナホは仰向けとなって下に居る状態でそれぞれ倒れ込んでおり、丁度爆風から庇ったような形に見えた。


「ったく、無茶苦茶やりやがる……!」
「な、な、なんとか無事かぁ……頭痛てぇけど、アイテテっ……」
「てへっ、ですまされる事じゃあ無いわよ、コレは」


 それぞれに文句を言いながらも、置き上がって体勢を立て直し始める。
 海童もイナホの上からどきながら、彼女へ向けて念の為か問いかけた。


「イナホ、無事だな?」
「はい! ダイジョブです! ……庇ってってくださって、心配してくれるなんて、やっぱりお優しいですね」
「いや、今のは誰だって―――」


 普通に庇ったり、心配しても不思議じゃない事だろ、何せ人をぶっ飛ばしたんだから。


 …………海童はそう言いかけ、しかしイナホの次の言葉にそれを遮られた。


「違う所はとことん違いますけど、それでも “
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