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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と家出の訳
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ジジイ臭いわ」
「ですねー、ちょっとお爺ちゃんぽい所があるかもしれません」
「るせぇよお前ら。それに第一―――」

「私の授業中に私語とは何事だお前ら!!」

「ぐおっ!?」
「うぎっ!?」
「あう」


 何時の間にそこに立っていたか、背後に居た学園長が海童と碓へ苦悶の声が出る程思いっきり、イナホにはまだいい音が出ているが軽めで、頭へハリセンを叩きつけた。

 男女差別だと言いたげな顔を碓は向けるが、それは学園長のひとにらみで黙らされてしまう。

 と、4人の握っている水晶玉を見て、驚いたのか関心の声を上げた。


「何だお前ら意外と出来てるじゃないか。碓と海童も予想外に良い結果だな」


 褒めているのか貶しているのか分からない台詞に、如何反応して良いか分からず、海童と碓は行き場のない思いからか、顔を見合わせて微妙な表情を作る。

 次に学園長は周りを見渡し、意外と私語だの会話だの、駄弁だのと洒落こんでいる生徒が多く、そうで無かろうとも何でこんな事をするのかと、やる気も覇気も無い顔でボーっと水晶玉を見つめている生徒も、案外少なくない事に気が付いた。


 大きく溜息を吐いてからまず栗傘を呼び出し、体育館の中央に陣取って生徒たちの注目を集める。


「はいちゅうもーくっ!! ……この授業の重要性を理解していない奴らばっかりみたいだし、いかにこのエレメント収束が大事なモノかってのを、今から実戦で教えるぞ!」
「が、学園長? 何故にオイが呼ばれたと?」
「ああ、実践に必要だからな。さて……そんじゃ栗傘、魔堅『フルメタル』を使って防御しろよ。今から拳叩き込むからさ」
「……は?」


 唐突にも程がある学園長の発言を受けて、栗傘は勿論のこと周りの生徒達も殆ど固まってしまい、一応何が起こるのか理解しているらしい一部生徒も、不安で表情を歪めている。

 数秒のフリーズから我に返った栗傘は、慌てて学園長へ忠告した。


「正気ですか学園長!? オイの『フルメタル』は冗談抜きで鋼に勝るとも劣らない硬度! 下手をすれば拳が砕ける!」
「だからだよ、栗傘。お前だから任せられるんだ……いいからしっかり構えとけ。ちゃんと腰入れて防御するんだよ」
「が、学園長……?」


 顔では笑いながらもただならぬ雰囲気を醸し出す学園長を見て何かを感じ取ったか、栗傘は言われたとおりに腰を少し落として重心深く、何時でも腕を動かせるように腰だめより前に構える。


 学園長は二度地面を脚で叩き、二度右拳を空振りさせ、右腕を軽く後ろへ持って行く。


 準備完了とばかりに軽く口角を上げ、皆へと聞こえるようにつぶやき始めた。


「まずは脚へとエレメントを集中……体の中にある『パイプ』を巡らせ
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