第15話〜策略の牢〜
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ったが、兵士の短い悲鳴を最後に通信が途絶してしまった。ルインモナークが詰所に侵入したのか。そうであれば当然、知事の息子も脱獄しているはずだ。そう考えた隊長は、隣の兵士に命令を出す。
「おい、地下にアレを放つよう別働隊へ通達しろ。私は中を収拾する」
「了解しました」
命令を受けた兵士は颯爽と敬礼をし、別働隊に連絡を取り始めた。
「大人しくしていればいいものを・・・虎の子を食らわせてくれる」
虚を突かれたはずだが、このようなチャンスをみすみす逃すほど彼らも甘くは無かった。
−バリアハート・地下水路−
「マキアス!無事だったんだな」
「き、君たち。どうして・・・それに、まさか君までいるとはな」
「フン、貴様のベソをかいた顔を確認しに行ったまでだが・・・それと、父にこのくらいは一矢報いようと思ってな」
「・・・そうか」
「ユーシス・・・」
ケインの迅速な判断によって無事に脱獄したマキアスは、狭く複雑に入り組んだ地下水路を小走りに進むうちに、リィンたちと合流した。どうやら自分とケインを助けに行こうと色々動いていたらしい。そのことで少しばかり涙腺が緩みそうになるマキアスだが、ユーシスの嫌味でそんな気も掻き消えてしまった。ケインがいないことに気づいたエマが彼の所在について訊くが、領邦軍の詰所だと答えるとたちまち苦笑を浮かべている。葬式よろしく顔の前で手を合わせるリィンに、あの阿呆がとでも言いたげに顔を片手で覆い隠すユーシス。さすがのファミィも肩をすくめて見せている。反応は皆それぞれだったが、全員が和んでいる暇はないという考えに至り、出口に向けて集団逃亡を開始した。
「な、何なの!?」
「・・・かなり大きな獣みたいだ」
「ああ、向かい側から迫って来ているようだな」
「くっ、何て厄日だ!」
どうやら領邦軍が魔獣を放ったらしく、耳を澄ませば足音がどんどん大きくなっているのがマキアスにも分かった。回れ右をしようか否かを割と本気で逡巡していたが、詰所の外にも兵士がいる可能性がある。結局彼にできたのはこの状況に毒づきながら仲間と共に出口の方へ猛然とダッシュするのみだった。しかし、そんな全力疾走もむなしくイヌ科の大型獣二体が待ち受けていた。所々に装甲が取り付けられており、軍用であるのは明らかだ。二体の獣は洗練された動きでマキアスたちを囲む。完全に退路を塞がれてしまった。
「くっ、獣のくせに知恵が回る」
「ふ、ふんっ。こんなのになんか負けないんだから!」
「ああ・・・せいぜい躾けてやる」
獰猛な獣相手に話し合いなど通用しない。リィンはZ組の重心として全員に号令をかけるのだった。
「・・・何とか倒せたか」
「さ、さすがにもうダメかと思ったぞ」
「フ
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