第15話〜策略の牢〜
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笑みを深くする領邦軍に、珍しく怒りを露わにして両手の拳をきつく握りしめるケイン。マキアスはそんな彼の肩へ手を置き、振り向いた彼に対して首を横に振る。彼の言わんとしたことを理解したケインは、それ以上なにも言うことなく頷いて脱力するのだった。
−領邦軍詰所・地下牢−
「安心しろ、大人しくしていれば危害は加えない」
「容疑が晴れさえすればいずれ釈放されるはずだ」
公都の地下水路にある薄暗き牢に閉じ込められるケインとマキアス。用は済んだと言わんばかりに詰所に去っていく領邦軍兵士二名にガンを飛ばしておいてからマキアスは迂闊だったと項垂れる。一方のケインはと言えばポケットから何かを取り出していた。
「おっ、あったあった」
「ケイン?君は一体何をするつもりだ・・・ま、まさか」
「そのまさか、だよッ!」
煌々と輝く白銀のナイフを取り出したケインは、鍵穴のついた施錠具を上から下に一閃した。すると、ほぼサイレント状態で金具が落ちる。まさか領邦軍の連中も入って一分もしないうちに脱獄する馬鹿はいないと思っているだろう。そのケインの考え通り、今は見張りがいないようだ。数刻も経たないうちに来るのだろうが、彼はマキアスに先に逃げるように言う。
「でも、君はどうするんだ?」
「ちょっと領邦軍シメてくるよ」
「わ、判った。その・・・ほどほどにな」
彼らがケインに伸されるシーンを想像したのか、どこか申し訳なさそうな顔をしながらも彼にお礼を言い、出口へと向かうマキアスであった。
−バリアハート貴族街・詰所前−
「ふむ、ヤツの尻尾を掴むのももう一息か・・・」
マキアスとケインは犯人じゃないと直談判しに来た士官学院の生徒らを一蹴したクロイツェン州領邦軍第2中隊隊長は、笑みを深くしながら門前でそう呟く。エレボニア帝国帝都知事、カール・レーグニッツ。貴族出身の人物らを押しのけて選出された平民出身の知事だが、貴族を根本から否定する革新派の中核を担う人物の一人だ。清廉潔白でかなりの切れ者であるらしい。その息子と一派親玉の最終兵器とでも言うべきイヌも人質として捕らえられた。これで彼らは何らかのリスクを負うだろう。貴族の私兵たる我々にも矜持がある。場合によってはあの二人には消えてもらうこともやむなしだろう。
「・・・?何だ?」
そんな残忍な事を考えながら公爵家の次なる連絡を待っているとコートの内ポケットに入っている無線からコール音が鳴り響く。こちらは領邦軍専用の通信端末で、兵には緊急時以外に連絡の必要はないと指示しているので尋常ならざる事態かと考え、慣れた手つきで応答する。
『た、隊長!!ル、ルインモナークが・・・ぐあっ!』
『おい、どうした!?』
何か切羽詰まった状況であるのは判
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