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101番目の舶ィ語
第十一話。女子トイレを撮影する男
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囲気が木造建築からしている。

「雰囲気もバッチリですね」

辺りの木々が俺達の浸入を歓迎しているかのように騒めいた。
そんな騒めきを気にした様子もなく、一之江は大きく放たれた入り口から中に入り込んで行った。
慌てて追いかけると中はカビ臭さに包まれ、裸電球の頼りない明かりに照らされていた。
床を歩けば「ぎし……ぎし……」と軋んだ音が響き、壁や天井には謎の染みが人の顔のように広がっていた。

「目的のトイレの位置は?」

「階段を上がってすぐの所だよ。『花子さん』の噂があったから、ほとんどの女子が使ってなかったからかなり寂れているかも」

「なるほど」

一之江はそんな雰囲気など意に介した様子もなく、いつもの調子でスタスタと歩いて階段を上っていった。
その様子からかなりこういう現場に慣れているという事が解る。
部室棟の二階に辿り着くと、女子のワイワイした声が聞こえてきた。

「ん?」

見れば、体操着姿の女子生徒が4人ほど、『花子さん』のトイレから出てきた。

「あれ?」

俺が変な声を出すのと、一之江が俺を睨むのはほぼ同時だった。

「あ、モンジ先輩、お久しぶりーっス」

しかも、そこにいたのは俺が知っている陸上部の後輩達だった。
一人だけ知らない金髪ドリル少女が一緒にいるが新入生か転入生だろうか。
俺の記憶にはない子だ。
返事をしてくれた女の子以外の2人は、ぺこりと会釈してくれた。
金髪ドリル少女は「誰よ、コイツ?」みたいな顔で見つめてきた。
視線を俺から一之江に向けると、何故だか驚いた顔をした。
(……一之江の知り合いか?)

「やあ、久しぶりだね。部室の様子を見に来たよ」

「今、一年にいいのが揃ってるから、バリバリ鍛えちゃて下さいっス!」

「本当かい?ならちょっと部室に寄ってから行くよ」

「はーい、お待ちしてるっスよー!」

サイドポニーテールの髪型の子がニコニコと俺に手を振って、他の2人も嬉しそうにお辞儀してくれた。
(後輩から慕われていたんだな、一文字は)

そんな事を思っていると金髪ドリルの少女が三人の少女達に話しかけた。

「あっ!ええと……」

「ん?ミレニアムさん、どうかしたっスか?」

「ううん。私先に帰るよっ」

「え、でも……」

「一人で大丈夫?」

「私は絶対大丈夫!
でも……」

ミレニアムと呼ばれた少女はそこで何故か俺達を見て。

「貴方達は気をつけた方がいいかもねっ」

金髪ドリル少女はそう口にしてその場を去って行った。
何だったんだ?

「知り合い、ですか?」

一之江がそう聞いてきたが俺にはあんな金髪ドリルの知り合いはいない。
金髪の知り合いなら前世で2、3人いたけどな。
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