8部分:第八章
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第八章
「けれどまあ。見直したかな」
「結構ね」
しかし同時にこうも言われるのだった。
「あれで結構いいところあるじゃない」
「普通はあんなのできないわよ」
「できない?」
男の子達はそんな女の子の言葉を聞いて顔を向けるのだった。
「できないのかよ、あれが」
「どうしてなんだ?」
「だから。高校生であれよ。赤ちゃんを連れてのデート」
「これ、できる?」
女の子達はこう男の子達に問い返すのだった。
「私なら絶対に無理よ」
「私も」
「涼花は全然平気だったみたいだけれど」
これもまた凄いことに思われていた。少なくともこの学校でそれをしたのは涼花だけである。とてもできるものではないということだ。
「それでもね。相手は」
「あいつでもね」
「そういうものか?」
「ちょっとわからないけれどな」
男の子達は今一つ実感できないでいた。
「けれどあれだな。何ていうかな」
「赤ちゃんと一緒なのはやっぱり大変だろうな」
「だろうな、じゃなくて実際に大変よ」
「そうそう」
こうしたことは実感できる女の子達だった。ここに男の子と女の子の違いがはっきりと出ていた。やはり子供を産んで育てるのは女だからだ。
「それに付き合ったあいつって」
「見所あるじゃない」
「見所あるのか」
「そうみたいだな」
それを言われてもやはりあまりよくわからない男の子達だった。それぞれ顔を見合わせてそのうえできょとんとした顔になっていた。
「けれどまあ。それだったら」
「あいつにとってもいいことだよな」
「涼花は強いけれど天然さんで」
これはまさにその通りだった。
「あんな娘だけれど」
「そんな娘と最後までデートできるなんてね。やるじゃない」
何につけてもそれなのだった。
「これはひょっとしたらね」
「いいカップルになるかもね」
そしてこうも言われるのだった。
「見守っていこうかしら」
「そうね」
「まあそれは賛成するさ」
「俺もな」
男の子達もこれには賛成するのだった。
「さて、あの二人これからどうなっていくかな」
「ちょっと以上に見ものだよな」
ここで二人を見る。見れば空手の道着を着ている涼花に暢雄が話し掛けていた。随分と明るい顔である。
「それで日曜はね」
「空手の試合でいいわよね」
「空手って」
「お母さんが試合に出るのよ」
実に清々しい顔で話す涼花であった。
「だから。一緒に観ましょう」
「空手の試合を観るデートかあ」
暢雄はその提案を受けて困った顔になっていた。
「それってどうなのかな」
「面白いわよ」
涼花は相変わらずの調子だった。
「空手の試合。だからね」
「うん。それじゃあ」
「一緒にね」
今度は晴れやかな笑顔であった。
「
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