第十一幕その十一
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「この子は違うんだよ」
「こうしてですね」
「普通に寝られるんだよ」
そうだというのです。
「こうしてね」
「そうですか」
「そう、だからね」
「このプールの中でも」
「寝られるんだよ」
「そういうことですね」
「だからね」
それで、とお話する教授でした。そのうえで。
カルロスにです、こうも言いました。
「今はいいよ」
「寝てもらってですね」
「うん、確かに寝ることに向いている場所には思えないけれど」
それでもだというのです。
「今日はね」
「いいんですか」
「そう、いいから」
それで、というのです。
「まあ明日まで起きないとね」
「起きてもらうしかないですね」
「またお菓子を枕元に置いて」
そして、と言うのでした。
「お茶と」
「今日みたいに」
「そうしよう、じゃあ」
「それじゃあ?」
「泳ぐかい?」
教授は笑ってカルロスに提案しました。
「これから」
「ううん、今は」
首を捻って答えるカルロスでした。
「遠慮させてもらいます」
「そうするんだね」
「はい、お散歩を続けたいです」
「わかったよ、こうして歩くこともね」
「いい運動ですよね」
「歩くことは運動の第一だよ」
その最初だというのです。
「身体を動かして悪いことはないけれど」
「歩くこともですね」
「そう、いい運動だからね」
だからだというのです。
「歩こう、もっとね」
「わかりました」
「一日一万歩というけれど」
「僕達もっと歩いていますよね」
「私は大学にいても毎日何万歩と歩いているよ」
「学問だけでなくですね」
「身体も動かさないとね」
学問だけでなく、というのです。
「気分転換にならないから」
「だからですね」
「そう、大学にいてもよく歩くよ」
「それがいいんですね」
「とてもね、それではね」
「はい、今からまた」
「歩こう」
こうカルロスに言ってでした、教授は二人で歩き続けます。ボタン=ブライトはプールの椅子の上に寝て気持ちよくしていました。
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