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闇物語
コヨミフェイル
007
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しか一度目のより痛みが鋭く感じる。
 「阿良々木さんを虐めないでくださいっ!阿良々木さんはただ純粋に私たちのような幼女や少女との戯れに興奮を覚える嗜好なんですから!」
 謂われない罵詈雑言を身に浴びながらも、何故か僕は八九寺に庇われていた。痛め付けるのか、それとも庇うのかどっちかはっきりさせてほしい。
 だけど、まあ、思考の無限回廊に陥いりそうになったところを助けてもらったようなものだしな。たくさんの可能性を考えてみたって意味がない。ただ今できることをするだけだ。
 それを思い知らされて感謝こそすれ、怒ることはできない。
 忍は割り込むように立ちはだかる八九寺が怨敵であるかのように睨み据えていた。
 少女と幼女の睨み合いである。二人とももう少し成長すれば画になるのだろうが、八九寺に関してはそれは望めない。浮遊霊だし。
 「低級の怪異がこの儂に意見するとは、よほど世の中の道理をその身に刻み込まれたいようじゃな」
 いつものように凄惨な笑みを浮かべず、なおも睨みつけている。
 余程機嫌が悪いらしい。
 だが、悪くなるのもしょうがない。睡眠を二度も邪魔された揚句にさんさんと照り付ける太陽の下で見たくもない僕と八九寺の掛け合いを見せつられているのだから。
 「元々は最凶最悪の吸血鬼だったのでしょうが、今ではほぼすべてのスキルを失い、ただの愛嬌溢れる金髪ロリ幼女です。今の貴方にはかつての面影すら残ってないですよ。恐るるに足りません!!」
 ない胸を張って八九寺は言った。
 「うぬは儂の何を知ってるというのじゃっ!」
 少女と幼女の熾烈ないがみ合いに発展してしまった。
 なんかすごく近寄りがたい雰囲気なんだが。これでつかみ合いの乱闘になったときは手がつけられなくなる。八九寺は意外と喧嘩慣れしてるし、忍は単純に怖い。
 そうなる前に手を打つことが急務だ。
 「言い合いをしている場合ではないと思うのですが」
 二人の気迫に押されてなぜか口調が丁寧語になっていた。
 「阿良々木さんは口を挟まないでくださいっ!」
 「そうじゃ。ここはお前様の出る幕ではないわ」
 遜ったのにすごい剣幕で二人に言われた。
 なんで意気投合してんだよ。
 「忍、ミスタードーナッツに連れてってやるからそこは押さえてくれ。それと八九寺、お前は好きなときに好きなだけ遊んでやるから押さえてくれ」
 ため息を一つついて言った。
 これ以上馬鹿をやっている隙はない。
 「ぱないのっ!」
 忍の了承は得られた。既に今朝ミスタードーナツに連れていく約束をしたばかりなのだが、連れていってくれることが嬉しく失念してしまったらしい。
 単純過ぎる。
 「分かりました。阿良々木さんに好きなときに好きなだけ遊んでもらえるのでしたらよしとしましょう――って言うわけがない
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