コヨミフェイル
007
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うか、犯人しか知り得ない情報知りすぎだろ。お前が犯人じゃねえのかと思ったが、第一発見者の瑞鳥くんの母親の友達が触れ回っているとのことだった。多分情報提供を呼び掛けるという建前で非日常的な体験をしたことを自慢しているのだろう。友達が危険に曝されているというのに。
人間の醜さを見せ付けられているようで気分が悪かった。
それはそれとして、火憐が飛び出していったのが正午前の出来事らしい。
長時間走り続けていることもなかなかどうしてすごいことだが、火憐の恋人、思い人が家族ごと蒸発したことの方が一大事である。
火憐があの目をするのも頷ける。
だからといって馬鹿の一つ覚えみたいに走り回るという方法はいかがなものかと思うが、まあ、それが火憐の精一杯なのだろう。あの脳細胞から骨細胞に至るまで筋細胞の火憐にすれば、最善手なのだろう。否定はできない。考えるより足を使って探す方が無難かもしれないが、それで見つかるなら既に見つかっているはずなのだ。当たり前だが、警察はに出動していて捜索している。月火いわくニュースにもなっているらしい。確かに軽犯罪すらすぐに伝播するような辺鄙な田舎町である。こんな町をきっと一家蒸発のニュースは矢の如く駆け巡るだろう。
月火と千石の二人はというと火憐が飛び出して行ったのを追い掛けたらしいのだが、すぐに見失ってしまって捜索をしているそうだ。あの人間兵器に追いつくことなんて死ぬ気で走っても無理だから、しようがないことなんだが。
それはさておき、一家蒸発はただ事じゃない。だからと言って、僕に出る幕はないだろう。
しかし、これが怪異の仕業ならば、どうだろう。
警察は用を成さない。
しかもそうならば、一刻の猶予もない。
怪異のすることなど分からない。
もしかしたら、もう既に取り替えしの付かないことになっているのかもしれない…………。
いや、しかしまだ怪異の仕業だと決まったわけではない。
いや、だけど……
と、頭の中が無数のしかしやだけどで埋め尽くされる手前でずっと僕の影に隠れていた八九寺が僕の顔を覗き込んできた。隠れていたといっても忍宜しく影の中に入るというわけではなくただそのままの意味である。忍が腰に手を当てて威張ったふうに立って八九寺を威圧していたからなんだが……。なんでこいつは僕以外とは仲良く出来ないんだと思う。
「どうしたのですか?浮かない顔をしていますよ、如月さん」
「何度も言うが、言わせてもらうが、人を陰暦二月の別称で呼ぶな。僕の名前は阿良々木暦だ」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとだ……」
「噛みまみた」
「わざとじゃないっ!」
「喧みた」
「語義未詳の古語じゃねえかっ!」
と、まあ、恒例の掛け合いをしていると、再び僕の顎に忍のアッパーが炸裂した。心な
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