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闇物語
コヨミフェイル
007
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らのう。とにかく、そんな事よりお前様の妹御じゃ」
 「…………」
 ゴミって……。
 ツンデレでもそこまで辛辣な言葉は言わねえぞ。ある特定人物を除いてはだけど。
 ていうか、そのゴミで一部が構成されているものにおまえは足をのせているんだぞ。いいのか?
 まあ、いいのだろう。ここでそれを問いただすこともすまい。優先することがある。
 「それなんだよなあ。まず、今のあいつに僕の言葉は届かない。だからって体を張って止めるなんてことも以っての外。というか、死ぬ」
 「そうじゃろうな。さしもの儂でもお前様の妹御の前には飛び出したくないのう。なら直接的でない解決を見るしかないのう」
 忍のぐりぐりから解放されてやっとのことで土下座を解いて立ち上がった。
 「どういうことだ?」
 膝やすねの辺りについた埃や砂を叩きながら訊いた。
 「じゃからお前様の妹御が爆走している原因を突き止めるということじゃよ。儂がお前様と巡り会った以前に何か似たことはなかったのかのう?」
 忍に言われて火憐のあの奇行を思い出す。あの目は過去に一度だけ見たことがある。それは不良グループに月火が連れ去られたときである。それを聞いて火憐は危機迫るものを感じさせる目で家を飛び出していった(その件は結局火憐も僕も手出しせぬまま月火が一人で危機を脱した)。火憐の携帯電話にかけても出ないのは火を見るより明らかだったので、月火の携帯に電話をかけた。月火の携帯に電話をかけるなんて何時以来だろうかとふと思いながらコールを聞いていた。
 二回目のコールで月火は携帯に出た。
 「もしもし」
 と、月火が心底めんどくさそうに言った。まず、月火がさらわれたという僕が馬鹿な妹共を警察署まで迎いに行く可能性が潰れて一先ず胸を撫で下ろす。
 しかし、月火がさらわれていないのならば火憐は何のために走っているのかという疑問をすぐに抱いた。火憐にとって月火がさらわれたと同等かそれ以上の有事を僕は思い付かなかった。その疑問を投げ掛けようと、一言目を発した瞬間月火に
 「皆まで言わなくてよい。どうせ、火憐ちゃんのことでしょ」
 と、横柄な口調で言った。
 やはり、ファイアーシスターズ、互いのことは大概把握している。
 「瑞鳥君が家族ごと失踪したの。今朝友達の家に出掛けるところの瑞鳥くんと瑞鳥くんのお母さんがゴミを出しているのを見たって言う目撃情報があるんだけど、それから誰も瑞鳥くんの家族の誰一人も見ていないの。お父さんも職場に来ていないみたいなの。でね、玄関の鍵もかかっていなくって、車も残っているし、誰も口を付けていないコーヒーがあったり、荒らされた痕跡がないの。怪しくない?!で、そのことを耳にした火憐ちゃんがせんちゃんの家を飛び出して瑞鳥くんの家族を捜索しているの」
 ということだった。
 てい
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