コヨミフェイル
007
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スショットを完全体にすることに成功した。
が、悲劇はそれからだった。いや、正しく言うと、最初から最後まで悲劇なのだが、それからが本当の悲劇だった。それからがクライマックスだった。それからが僕たちが傷付け合う物語だった。
――完全体のキスショットは僕に自分を殺すように仕向けたのだった。
キスショットから詳しい方法を聞かされていなかった僕は、吸血鬼を助けてしまうような愚か者の僕は唯一の方法が主従関係を破綻させること、つまり主を従僕が殺すことなどと到底知る由もなかった。
そうとも知らず僕はキスショットを殺そうとした。首に噛み付き血を半分まで吸い上げたところで羽川がキスショットの真意を暴いた。真意を知った僕は忍野の提案に従い全員で不幸を分かち合った。僕は人間に戻れず、キスショットは死ぬことを許されず、人類は最強の怪異を殺し損ねる不幸を分かち合った。
それからは紆余曲折を経て今ではキスショット、もとい忍とは和解している。
閑話休題。
「ごめん。それは僕が悪かった」
「お前様は幼女に手を出しておるときではなかろうがっ!」
「いや、だからそれは八九寺とのスキンシップをしてから―」
「…………我が主様はよっぽど己の不死力の高さを身をもって知りたいようじゃな」
と、言いながら、忍は凄惨な笑みを浮かべた。
「ごめんなさい」
すぐさま土下座をした。逆立ちやブリッジとかではなく、普通に土下座をした。その速さは忍の完全体のときの速さを凌ぐのではないかと思うぐらいだった。
「とにかく、お前様はどうやって妹御を止めるつもりなのじゃ?」
忍が僕の後頭部を踏み付けながら呆れた風に訊いてきた。
「手伝ってくれるのか?」
「別に好きで手伝ってやるわけではない。儂はただ安眠のためにお前様の悩みの種を解消しようと思っただけじゃよ」
今朝も起こされたしのうと忍。
「そうなのか……」
と、肩を落として言うと、忍は大きくため息をついて
「阿呆、気付け。お前様が年中無休、四六時中数々の女の尻を追っかけて興奮しておるというのに、今回に限って出てきたということは協力するつもりでおるとは思わんのか」
後頭部を足の裏でぐりぐりしながら大仰そうに言う忍。
年中無休も四六時中も興奮はしてないけどな。
まるで盛りのついた動物じゃねえか。
「いや、正真正銘の盛りのついた動物じゃろうが」
「………………本当にお前ってツンデレだよな。前々から実は僕は気付いてたんだけどな。いや〜、ここまでになるとはな。もしかしたら戦場ヶ原といい勝負なんじゃねえの?」
「何別の話をしているかのように装っとるんじゃ」
「はははっ、照れるなって」
あくまで白を切り通す。
「……まあ、よい。その部分を除けば、ゴミしか残らん我が主様だか
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