赤の少女が求めしモノは
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れて、そして秋斗の狙いを読み切って、華琳は頬を少しだけ緩めた。
「私が明と話してるんだから汚らわしい口を挟むんじゃないわよ、腹黒幼女趣味男。口と鼻を閉じて岩のように誰にも迷惑掛けずに死ね」
「俺がお前さんの命令を聞いてやる義理は無いし、これ以上は時間が勿体ない。お前が口を閉ざすかにゃーにゃー鳴いてろ、腹黒猫耳女」
「華琳様は私に任せてくださったの。だからあんたが口を開くのは命令違反。出てけ、空気が穢れる」
「好きにしろって言っただけだろ? 耳が四つもついてるのに聞こえなかったのか、荀ケ殿は」
「これは服の一部。見て分からないの? 頭が悪いだけじゃなくて目も悪いのね。それとも幼女の事しか見れない穢れた眼なのかしら?」
「いや、良く見えるな。特に洗濯板の胸が。色気の欠片も無い」
「なっ……変態っ! 気持ち悪い! 死ね!」
呆然としたのはその場の全員。
真剣な空気も、哀しい話も、全てを台無しにしてしまった。切片を投げたのは秋斗で、壊してしまったのは桂花。
自然な掛け合いのようにも見える貶めあいは……秋斗には狙い通りで、桂花にとっては無意識。
胸に女性特有の実りを持たない幾人かが秋斗に殺気を向ける……振りをした。彼がいつも作るような緩い空気が広がり……軍師達は合わせつつ内心で緊張を高めたのだ。
――へぇ……あなた達はこの男に合わせられるようになったのか。
華琳に至っては、面白い関係が出来上がったモノだ、と自分の軍の状態に満足して、秋斗のおかしなやり方も楽しくて、笑みを隠そうともしなかった。後でイジメてやる議題が一つ出来たのもあるが。
この時点で聡く、明は読み切られてしまった。
自分の嘘を、偽りの自分を、曹操軍の軍師達が読み切れないはずがあろうか。
他愛ない喧嘩をし始めた二人に割って入るカタチで、必死を装った激発でもしておけばまだ繋げたであろうが、茶番に成り下がったこの場では、もう何をやっても滑稽にしか映らない。
――あー……やっちった。曹操軍は出るだろうけど……あたしが逃げるの難しくなった。
状況的には烏巣を攻めざるを得ないから出撃は確定。
砕かれた雰囲気で伝えられるのは、どれだけ演技をしようともお前を信じる事は無いという……不信。
ただ、彼女は己が友の力量を読み誤っていた。
くだらない掛け合いもそこそこに、桂花は秋斗に犬歯を出して睨んだ後……立ち上がって明の元に近付いていく。
つかつかと目の前まで来て幾瞬、ぐい……と胸倉を掴みあげた。非力な彼女では持ち上げられないが、それでも目を合わさせた。
揺れる翡翠にあるのは……絶望の澱みだけ。
「……クソバカ明。あんたのせいで夕が死ぬ。頭を廻しなさいよ……もう一度言ってあげる」
声を荒げる事は無い。荒げてな
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