第一話
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」
「それだと大文樹、叶えてくれないかもよ?」
「それでもいーの!」
女子二人がこんなことを言っているが、この大文樹はぶっちゃけた話だが、何も変哲もない単なる木である。ただ俺達が勝手に願い事を叶える木と言っているだけだ。
ちなみに大文樹って名前も俺らが名付けたしな。由来は教科書で、大文字という山があるのを思い出し、『字』を『樹』に変えただけだ。
「ねえ」
「ん、何」
奈月が、からかうような顔して俺に話しかけてきた。
「結人は、やっぱり昔にもどれますようにって願うの?」
「んなわけあるか」
「じゃ、何願うのよ?」
「特に考えてねーな」
「なにそれ、ちゃんと考えなさいよ」
「じゃ、お前は考えてるのかよ」
「え、えっーと…」
奈月が言いづらそうに顔を背ける。俺も顔の動きを追って、ちょっとばかり奈月との顔が近くなる。
ついでになんか顔が赤くなってきてるような?
「なんだよ、教えろよ?」
「っ………バーカッ! 教えないっ!!」
いきなり右ストレートを放ってきた。
「うおっ! 危ないだろ」
ギリギリで避ける俺。
「もう! 夫婦漫才してないで、早くやるよ?」
「「別にそんなんじゃないから!!」」
「見事にハモったね……って、なんかデジャブだよ…」
そのあと奈月、俺、リアの順に並び、手を合わせて大文樹に願う。
俺は
『最近、金欠なので金ください』
という、ロマンも何もない願いだった。
願い事をした後は、軽く話をして解散した。
俺は自宅に帰宅し、飯食って風呂に入り、やりかけのゲームをやって、もう日付が変わるといったところで、眠りについた。
☆
「………ろ」
ベットに入ってからどれくらい経ったのだろうか。誰かの声が聞こえる。目覚ましの音は聞こえないので、まだ起きる時間ではないのは理解できた。
「………きろ」
まだ眠いので意地でも起きない。
「お……きろ」
絶対やだ。起きない。
「起きろと言っているだろうがっ!!」
ドスンッッッ!!!
「ぐはぁっ!!??」
な、なんだ!? 後頭部に鈍い衝撃が走ったぞ、今!?
この衝撃を起こした犯人は、誰なのかと思い顔を上げると
「いつまで居眠りをしてるんだ、お前は?」
「えっ?」
そこには、俺の高校時代の担任の川西先生が、出席簿を持ち呆れた顔で俺を見ていた。
「あれ? なんで俺の部屋に先生が…?」
「まだ寝ぼけるのか、伊吹」
寝ぼけてるも何も、一人暮らしの自分の部屋に自分以外の人が居たら、誰だって抱く疑問だと思うのだが。
「ここは 教 室 だぞ」
「はっ?」
辺りを見る。そこは俺の部屋ではなく、懐か
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