第一話
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よな。高校の時も何を読んでるかと思ったらそればっかりだし」
「面白いのから読んでるの」
そんなたわいのない話を奈月と続けていると
「あれ? なっちゃんとゆい君?」
もう一人の女性が現れた。
「リア? なんでここに?」
「それはこっちのセリフだよー。珍しい光景だねぇ。二人だけなんて」
「「別にそんなんじゃないから」」
「見事にハモったね」
ニヤニヤしながら喋っているのは、橘リア(たちばな りあ)
高校からの友人で、イギリスと日本のハーフである。
ちなみに彼氏持ちだ。
「で、リアはどうしてここに?」
リアにこれ以上弄られたくないと思ったのか、奈月は話を逸らす。
俺にとってもそれは助かる。この手の話が大好きなリアと話してたら、いつまで経っても終わらないからな。
「散歩かな?」
「なんで疑問系なんだよ」
「特に目的があって来たわけないからね〜。自分でもどうしてここに来たのか分からないの」
「相変わらずの天然ね」
「まったくだな」
「えへへ…」
「なんで照れる」
こいつの感性は多分、俺達とは少しズレている。間違いない。
☆
それから三人で雑談を開始する。男一対女二という両手に花といった男なら嬉し過ぎる状況だが、俺はそれを特に何も感じることなく話をする。奈月は悪ふざけできる悪友って感じであんまり意識してないし、リアに至っては彼氏持ちだ。その彼氏も俺の友達だし。
なので、特に気まずいなんてことは無いのだ。
話を始めてから三十分弱ぐらい経った時だ。リアが俺、奈月に
「久々に大文樹に願い事しない?」
俺が寄りかかっている全長十メートル前後の木を指差しながら言う。
「子供じゃないんだから」
「えーっ、なっちゃん願い事しようよー。願い事しよー!」
「もー、駄々をこねないの!」
リアが奈月に子供のように駄々をこねる。今年で二十歳の筈なのだが、中身は小学生ぐらいなんじゃないか? こいつは。
そんなことを思っていると、リアは矛先を俺に変更したらしく
「ゆいちゃんは? ゆいちゃんは願い事するよね?」
と、俺に聞いてくる。
もうそんな子供っぽいことをするのは恥ずかしいのでやりたくなかったが、リアはこう見えて言い出したら聞かないところがある。そうなるとこっちが折れるまでずっと言い続ける。正直、面倒なので
「久々だし、やろうぜ奈月」
賛成する。ついでに奈月を説得する。
「んー…、結人が言うなら」
昔から奈月は、俺からお願いすると簡単に折れるところがあるので、こういう時はすごく楽だ。
「よしっ! じゃ、お願いしよー!」
「やるって言っても何をお願いするのよ、リア?」
「それは別々でいーよ
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