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バニーガール
第九章
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わっていた。
「遊園地はあそこだよね」
「ええ、猫の遊園地」
 そこは絶対であった。もう予約も取っていたのだ。
「予約してあるし」
「もうなんだ」
「そこで。いいわよね」
「悪いわけないじゃない」
 高谷君はくるちと笑って言ってきた。
「それじゃあ。そこでね」
「ええ、御願い」
 そう言葉を交えさせてこの店では終わった。だがこれは終わりではなく本当の意味でのはじまりだった。真理奈も高谷君もそれはわかっていた。
 高谷君にコーヒーを渡してテーブルから離れる奥に戻ると。そこには和歌子がいた。腕を組んで楽しげな笑みを真理奈に対して見せていた。
「上手くいったみたいね」
「ええ」
 真理奈はにこりと笑って和歌子に答えた。
「貴女のおかげでね」
「実る恋は実るのよ」
 真理奈の御礼に対してこう返す和歌子であった。
「そういうものなのよ」
「そうなの」
「そうよ。だから私はちょっとそれを訂正しただけ」
 だから彼女はそれを誇ってもいないのだった。
「それだけだから」
「けれど。それでも有り難う」
 それでも礼を述べる真理奈であった。
「おかげで助かったわ」
「それで。遊園地でだけれど」
「ええ」
 話はそこに向かった。
「もう兎じゃなくなるのよ」
「えっ!?」
 真理奈は今の和歌子の言葉にその顔をきょとんとさせた。
「それってどういうこと?」
「だから。猫じゃない」
 それをまた言う。
「だからよ。今度は猫になるのよ」
 笑って真理奈に言ってきた。
「だから。いいわね」
「そうね、猫なのね」
「うさぎはもうおしまい」
 そういうことであった。
「わかったら今度は猫になるのよ」
「ええ。けれど何か」
 ここで微妙な顔になる真理奈であった。
「どうしたの?」
「不思議ね。今はバニーガールも悪いものじゃないって思えるようになっているわ」
「ハッピーエンドだったからよ」
 そう真理奈に告げる。
「よく言うじゃない。終わりよければ」
「全てよしね」
「そういうこと。わかったらさあ」
「猫になるわ、これからはね」
「それでよし、よ」
 最後に和歌子のにこやかな顔が出た。これでハッピーエンドは完成であった。終わってみると話は大団円であった。何事も終わりよければ全てよしであった。


バニーガール   完


                  2008・1・1

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