第一章
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カウボーイスタイル
テキサスの牧場でだ、二人の男が話していた。二人共青のジーンズと白のシャツの上に革のオーバーズボンと厚毛のウールのベストを着けている、首にはバンダナがあり頭にはカウボーイハットがある。その二人がだ。
牧場の牛達を観つつだ、こんな話をしていた。
「おいチャーリー、今日はな」
「何だよジミー」
二人のうち黒人の男、チャーリーが白人のジミーに言葉を返した。
「今日何があるんだよ」
「今日はクリスマスなの知ってるか?」
「そういえばそうか」
チャーリーはジミーに言われて今度はこう返した。
「もうそんな日か」
「そうさ、それで今日何か予定あるか?」
「予定?今仕事してるぜ」
「違うよ、夜だよ」
ジミーはチャーリーにすぐに言った。
「夜の予定だよ」
「ああ、夜か」
「ガールフレンドと過ごすのか?」
「ガールフレンド?食えるのかよそれ」
チャーリーはジミーに牛を見つつ笑って言ってみせた。
「そんなの聞いたことないぜ」
「また随分な返事だな」
「先月別れたさ」
これが正式の返答だった。
「残念なことにな」
「本当に残念なことだな」
「だからな」
「今夜はか」
「何もないぜ」
「奇遇だな、俺もな」
ジミーもこう言うのだった。
「夜はフリーだよ」
「それはナイスだな」
「だろ?どう過ごすかだな」
クリスマスの夜を二人で、というのだ。
「今から悩んでるぜ」
「牛と一緒に過ごすか?」
チャーリーは今度は牧場の外の方を見た、牧場の見張りは楽な仕事だがそれでも油断は出来ないので休まず見回している。コヨーテだの牛泥棒だのが来ていないかだ。
「今夜は」
「牛と一緒にいてどうするんだよ」
「牛舎でミルクでも飲んでな」
「それの何処が楽しいんだよ」
ジミーはチャーリーの話を受けて今度はこんなことを言った。
「全然楽しくなさそうだぜ」
「それもそうだな」
「そうだろ」
「参ったな、こりゃ」
「お互いに寂しい聖夜になるな」
「全くだよ、けれど夜は来るからな」
時間は止まらない、だからだ。
「それでだよ」
「どうにかしないとな」
「二人予定なしならな」
「どうするんだよ、それで」
ジミーはチャーリーに問うた。
「今夜は」
「俺の家に来るか?」
これがチャーリーの案だった。
「今夜は」
「それでか」
「ああ、それでな」
「クリスマスをか」
「祝うか?」
こうジミーに言うのだった。
「予定のない者同士な」
「男同士のクリスマスかよ」
チャーリーの話を受けてだ、ジミーは苦笑いになってだった。そのうえで彼に対してその苦笑いで答えたのだった。
「最悪のクリスマスだな」
「もっと最悪のクリスマ
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