第3部 始祖の祈祷書
第4章 三つ巴の探り合い
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る手段はないがな」
ウルキオラは皮肉っぽく言った。
帰る手段?とキュルケとギーシュが、顔を見合わせた。
「俺の世界はこの世界ではない」
ウルキオラは言った。
「そ、そうなの?よくわからないけど、それはお気の毒に」
キュルケは悲しそうに俯いた。
「まあ、戻ってももはや俺の居場所はないがな」
ウルキオラは紅茶を啜りながら言った。
そういうと、キュルケがウルキオラに近づいた。
「なら、ゲルマニアで貴族にならない?」
「貴族…だと?」
キュルケは笑みを浮かべた。
「そうよ。お金さえあればゲルマニアでは貴族になれるのよ」
「金などない」
ウルキオラはそういうと、手に持った羊皮紙をウルキオラに叩きつけた。
「だから、探すんじゃないの」
「なんだこれ」
ギーシュはウルキオラの持つ羊皮紙を覗き込んで言った。
「宝の地図よ」
「宝ぁ?」
ギーシュはきょとんとした声を上げた。
「そうよ!私たちは宝を探しに行くのよ!そんで見つけた宝を売ってお金にする!」
キュルケはガッツポーズをする。
地図を見つめていたギーシュが、胡散臭げに呟いた。
「なあキュルケ、この沢山の地図、どう見ても胡散臭いんだけど……」
「そりゃ、ほとんどは屑かもしれないけど、中には本物が混ざってるかもしれないわよ?」
うむむむ、とギーシュは顎に手をやって、唸った。
「ウルキオラ、行きましょう!こんなとこで座ってたって仕方がないでしょ?」
ウルキオラはすることもなかったので、その話に乗った。
「わかった」
「そうこなくっちゃ!」
キュルケがウルキオラをぎゅっと抱きしめた。
そこに誰かが飛び込んできた。
「ダメですダメですダメですっ!」
「シエスタ?」
メイド服のシエスタだった。
どうやら、盗み聞きしていたらしい。
「ウルキオラさんが貴族になるなんてダメです!」
シエスタはウルキオラを引っ張った。
「あなた、好きな男の幸せを願わないの?」
キュルケにそう言われると、シエスタは、はっ!とした顔になり、ウルキオラを見つめた。
それから首を振る。
「貴族になるだけが幸せじゃないわ。私の村にいらして。そのお金でブドウ畑を買いましょう!」
「なんだと?」
「私の村では、良質なブドウが沢山取れるんです!素敵なワインを二人で作りましょう!銘柄はウルスタ!二人の名よ!」
キュルケとシエスタは、ぐいぐいとウルキオラを引っ張った。
二人の女の子の間で、「離せ」と言っているが聞きやしない。
ギーシュがつまらなそうに言った。
「ふん、宝なんて見つかるもん
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