第3部 始祖の祈祷書
第4章 三つ巴の探り合い
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、怒鳴った。
「ばか!今さら……、え?」
入ってきたのは、キュルケであった。
燃えるような赤毛を揺らし、キュルケはにやっと笑った。
「私で、ごめんなさいね」
「な、なにしに来たのよ」
ルイズは再びベッドに潜り込んだ。
つかつかとやってきて、キュルケがベッドに座り込んだ。
がばっと毛布をはいだ。
ルイズは、ネグリジェ姿のまま、拗ねたように丸まっている。
「あなたが三日も休んでいるから、見に来てあげたんじゃない」
キュルケは呆れたような、溜息をついた。
さすがに良心が痛む。
まさか、食事の現場を見たくらいで、本当にクビにしてしまうとは思わなかったのだ。
喧嘩になって、二人の仲がちょっと離れればいいぐらいに思っていたのだが、ルイズの初心さ加減はキュルケの想像を超えていた。
「で、どーすんの。使い魔追い出しちゃって」
「あんたに関係ないじゃない」
キュルケは冷たい目で、ルイズを見つめた。
薔薇のような頬に、涙の筋が残っている。
どうやら泣いていたようだ。
「あなたって、馬鹿で嫉妬深くて、高慢ちきなのは知ってたけど、そこまで冷たいとは思わなかったわ。仲良く食事してたぐらい、いいじゃないの」
「それだけじゃないもん。あ、あの女と、キ、キ、キスしてたんだもん」
ルイズはポツリと言った。
「あらま、キスしてたの?」
ルイズは頷いた。
しかし、キュルケはあることに気付いた。
あのウルキオラが、感情の乏しいウルキオラが自らキスをするだろうか。
おそらく、いや、絶対にしないだろう。
キュルケは溜息をついた。
「あなた、ウルキオラが自らキスしたのを見てたの?」
ルイズは首を横に振った。
「なら、メイドの娘からキスしたんじゃないの?」
ルイズはあの時のことを思い出した。
確かに、テーブルに身を乗り出していたのはメイドの方だった。
ウルキオラではなかった。
ウルキオラはただ椅子に座っているだけだった。
「そ、それは……」
ルイズは黙ってしまった。
「ラ・ヴァリエール、あなたって、変な子よね。きちんと話を聞かずに、あれだけ助けてもらった人をクビに出来るんだもの」
ルイズは胸がチクリと痛んだ。
「ウルキオラは私が何とかしてあげる。初めは、あなたから取り上げるのが楽しくって仕方なかったけど、勝手に召喚されて、クビにされて、なんだか今は彼がかわいそう。彼はあなたのおもちゃじゃないのよ?」
ルイズはきゅっと唇をかんだ。
「でも、なんだかんだいってうウルキオラは優しいわよね、ルイズ」
「どういう意味よ」
ルイズは嗚咽のような声を出した。
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