第3部 始祖の祈祷書
第4章 三つ巴の探り合い
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離れた。
シエスタの顔は茹で上がった蛸みたいに、真っ赤に染めあがっていた。
「シエスタ…?」
ウルキオラはシエスタを見て、一言呟いた。
すると、シエスタの後ろに見慣れた桃色がかったブロンドの髪の少女が目に入った。
「ルイズ」
ウルキオラの言葉にシエスタは後ろを振り向いた。
そして、慌てて立ち上がり、ルイズにペコリと頭を下げた後、そそくさと走り去ってしまった。
「どうした?」
ウルキオラはこれまた感情の籠っていない声で言った。
「な、何してんのよ。あんた」
ルイズの声は震えていた。
おまけに体も震えている。
「紅茶を飲んでいるだけだが?」
ウルキオラはそんなルイズの様子を気にも留めずに、紅茶を啜った。
ルイスがウルキオラの座る椅子に近づいてくる。
そして、目の前のテーブルをバンっと叩き、ウルキオラを睨みつけた。
「キ、キ、キ……」
ルイズは体が震えているせいか、うまく口が開かなかった。
「木?木がどうかしたのか?」
ウルキオラは周りの木を見回した。
しかし、別に何もない。
ウルキオラは再びルイズに視線を移した。
すると、ルイズは目から、涙がポロリと落ちた。
「何故、泣いている?」
ウルキオラはルイズが泣いている理由が全く分からなかった。
「もういい」
ルイズはきっとウルキオラを睨んだ。
「何がいいんだ?」
ウルキオラは尋ねた。
「クビよ」
「なんだと?」
「あんたなんかクビよ!私の使い魔なんかじゃないわ!」
ウルキオラもさすがにこの言葉にカチンときた。
「勝手に召喚しておいて、クビとは横暴にもほどがあるんじゃないのか?」
ウルキオラはルイズをじっととした目で見つめた。
「うるさい!うるさい!うるさ〜い!クビよクビ!あんたなんかその辺で野垂れ死んじゃえばいいのよ!」
ルイズは涙でぐちゃぐちゃになった顔で言った。
「わかった」
ウルキオラは冷徹な声で言った。
「あんたなんか、大っ嫌い!!」
ルイズはそう言って、足早にウルキオラの元から去って行った。
ルイズは、部屋に戻ると、ベッドの上に倒れこんだ。
毛布を引っ掴み、頭から被った。
ひどい、とルイズは思った。
「今日だけじゃないわ。昨日もあそこでああやってあの子といちゃいちゃしてたんだわ。あんなことしてたんだわ。学院長に椅子とテーブルを頼んだのもきっとそのためだわ。許せない」
ルイズは唇をかんだ。
あのとき確かめようと思った気持ちは、嘘で塗り固められていたのだ。
涙がぽろっと溢れて、頬を伝った。
「何よ、
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