第二十話 終わりと始まり
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守りながら呟いた。
大輔は次にアリシアのカプセルに歩み寄る。
カプセルの中のアリシアはまるで眠っているかのようだ。
フェイトよりも幾分幼い顔立ちだ。
大輔「…なあ、プレシア。アリシアは何歳の時に……死んだんだ?」
プレシア「……まだ5歳の時よ」
大輔「…そうか」
自分がデジタルワールドを冒険した時の歳よりも下。
大輔は沈痛な思いで、カプセルを見つめた。
大輔「…生きたかったろうな…アリシアは…。生きて…同い年の子供と沢山遊んで、学校行って沢山学んで、世界の色々な物を見たかっただろうな…」
そして、叶いはしないだろうが、アリシアもフェイトと一緒に笑っていて欲しかった。
大輔「出来ることなら…アリシアには生きていてもらいたかったな…」
大輔がカプセルに触れた途端、アリシアがプレシアと同じように暖かい光に包まれ、アリシアの心臓が動き出し、生白かった肌に徐々に色みが戻ってきているのが分かった。
微かに瞼が動いて開く。
何度か瞬きを繰り返し、その瞳の奥で瞳孔が収縮するのが見える。
人形めいていた双眸に意志が宿る。
むくりと半身を起こして目を擦りながら、ずいぶんと間の抜けた声を出した。
アリシア「ふわあ……うぅ…おはよー、お母さん」
光が収まると、アリシアが寝ぼけ眼でプレシアを見ると挨拶した。
大輔「おはようっていうかおそよう…が正しいよな…?」
大輔が呆然となりながら呟いた。
プレシア「アリシア…」
プレシアは久しぶりに聞いた娘の声に涙を流した。
アリシア「お母さんどうしたの?何処か痛いの?」
アリシアがカプセルから出て、プレシアに駆け寄る。
プレシアは堪らずアリシアを抱き締めた。
プレシア「アリシア…ごめんなさい。私は最低な母親だったわ…」
アリシア「お母さん…?」
大輔「アリシア」
アリシア「お兄ちゃん誰?」
大輔「俺は大輔、君のお母さんの知り合いで、フェイトの…仲間だよ」
アリシア「フェイト?」
アリシアは首を傾げて大輔を見上げる。
大輔「君にとてもそっくりな子なんだ…君の妹だよ。」
アリシア「妹…お母さん。私が欲しかった物をプレゼントしてくれたんだね?」
プレシア「え…?」
アリシア「私、誕生日のプレゼントに妹が欲しいって言ったよね」
プレシア「あ…」
プレシアは記憶を辿ると、生前のアリシアが誕生日プレゼントに妹が欲しいと言っていた。
アリシア「ありがとう、お母さん」
アリシアが満面の笑顔をプレシアに向けた。
だがプレシアは暗い表情をしていた。
プレシア「違うのよアリシア…」
アリシア「え?」
プレシア「私にはそんなことを言われる資格なんて無いのよ…」
プレシアは暗い表情で俯きながら言う。
大輔「アリシア…プレシアはな…」
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