暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
終章
ある家族の肖像
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といえばどうでもいいのだが。
「身体の加減はいかがですか?」
「お陰さまで問題ないわ。相変わらず魔法は使えないけれどね」
 艦長――母さんの問いかけに、プレシアは右の掌を見ながら笑った。彼女の掌にはうっすらと奇妙な形をした痣が浮かんでいる。あの男――御神光はそれを代償と……あるいは魔法使いの証だと呼んでいた。そのせいで魔法が使えないというのはなかなか皮肉だとも言っていたが……どうやら魔力の『出力方式』とでも言える何かが異なるのではないかとプレシアは予測を立てていた。彼女が極めて優れた魔導師である事は疑いなく、魔法技術に関する知識は僕などが及ぶところではない。その彼女が言うのだから、おそらくそれは正しいのだろう。それに――
(確かにアイツの『魔法』は何か奇妙な感触がするからな)
 あの男の魔法を一番多く受けたのはおそらく僕だろう。その経験を踏まえて言わせてもらうなら、確かにあの男の魔法は異質だ。そんな事は、もうとっくに思い知っていた。『出力方式』が違う程度は当たり前だと思える程度には。
「それにしても……」
 プレシアが小さくため息をついた。
「貴女達がくる事が分かっていたなら、出前か何か頼んだのだけれど」
 巡視艦の艦長と執務官に出すには少しばかり粗末でしょう?――と、テーブルの上に並ぶ料理を見ながら、プレシアが苦笑する。
 実際のところ今夜の来訪は、少々予定外のものだ。ジュエルシードの『不正所持』とそれに伴う『暴走行為』に繋がるそもそもの始まり。つまり、アリシア・テスタロッサが死亡した『事故』に関していくつか重要と思われる情報が手に入ったので、それの報告と事実関係の確認が目的だった。だが、その話は取りあえず後にして――
「いえ、充分美味しいですよ。それに、私はあまり料理が得意じゃないですから……」
 別に下手な訳ではない。若くして艦長職を拝するほどの仕事をこなしながら、女手一つで育ててくれたのだ。料理もそつなくこなしているが……まぁ、抹茶に砂糖を入れて飲む人である。だからという訳でもないが、時々暴発する事もある訳で。
(というか、単純に甘党なんだよな。母さんは)
 似通ったところは多々あるとはいえ、あの世界の食文化については僕もあまり詳しくないのだが……少なくとも、御神光や高町なのはの話では、母さん愛飲の抹茶は砂糖などいれずに飲むものらしい。二人ともかなり奇異の目で見ていた。何となく違和感を覚えていた僕の感覚は間違っていなかったという事なのだろう。と、それはともかく。
「特にこの唐揚げなんて――」
 確かにこの唐揚げは美味しい。だが、母さんがそう言った途端プレシアの表情が微妙に強張り……何故だかアルフが不敵な笑みを浮かべた。
「そうかいそうかい! その唐揚げ、気に入ってもらえたかい!」
 まぁ、何となく予想はついた。俗に
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