第3部 始祖の祈祷書
第3章 始祖の祈祷書
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故か拳をギュッと握った。
「どうした?」と尋ねると、ルイズはぷいっと後ろを向いて、ごそごそと布団に潜り込んでしまった。
「おい」とウルキオラが言うと、ルイズは「寝る」と言って、黙ってしまった。
まあ、熱はないようだしほっとくか、と思ってウルキオラは椅子に腰かけた。
そのままじっと本を読んでいると、枕が飛んできた。
ウルキオラは右手でそれを受け止めた。
「なんだ?」
ウルキオラが尋ねた。
「今投げた枕を持ってきて。ベッドで寝ていいって言ってるじゃない、ばか」
ルイズのすねた声が飛んできた。
「睡眠は必要ないと言っているだろう」
ルイズは布団の中から顔をだし、ウルキオラを見つめている。
その目はどこか、寂しさを含んでいた。
「お願い」
ウルキオラはそんなルイズの様子を見て、溜息をつき、本を閉じた。
斬魄刀とデルフをテーブルの上において、ベッドの横になった。
しかし、少しして窓の外に誰かがいることに気づいた。
ルイズの部屋の窓の外ではタバサのシルフィードがぷかぷかと浮いていた。
その上には例によってキュルケとタバサの姿があった。
タバサは月明かりを頼りに本を読んでいる。
キュルケは窓の隙間からルイズの部屋の様子をじっと見つめていた。
キュルケはつまらなそうに鼻をならした。
「なによー、ホントに仲良くなってるじゃないの」
アルビオンから帰る風竜の上、頬を染めてウルキオラに寄り添っていたルイズの顔が浮かぶ。
ルイズはまんざらでもなさそうだった。
「私のアプローチは拒むのに、何でルイズはいいのよ!」
今まで、自分の求愛を拒んだ男はいない。
それがキュルケの自慢であった。
キュルケはイラついていた。
さっき、平民の娘といっしょにお茶をしていた。
あたしを無視して……。
キュルケのプライドががさがさ揺らぐ。
ルイズに負け、平民の娘にまで負けたのでは、『微熱』のキュルケの名が泣く。
それに、ルイズがウルキオラのことが好きならば、是が非でも奪い取らなくてはならない。
ラ・ヴァリエールから恋人を奪うのは、これフォン・ツェルプストーの伝統なのであるからして。
「うーん、陰謀は得意じゃないけど、少し作戦を練ろうかしら。ねえタバサ」
タバサは変な方向を見ている。
「タバサ?」
キュルケはタバサを揺さぶった。
すると、その方向に向けて、指をさした。
「気づかれた」
キュルケははっとしてタバサが指をさしている方向を見た。
すると、そこには窓を隔てこちらを見ているウルキオラがいた。
「や、やば……」
キュルケは少し後ずさ
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