第3部 始祖の祈祷書
第3章 始祖の祈祷書
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
お茶のいい香りが鼻腔をくすぐる。
なんとそれは、日本の緑茶であった。
ウルキオラは驚いた顔でカップを覗き込んだ。
「ど、どうしたんですか?」
シエスタは身を乗り出し、ウルキオラと同じようにカップを覗き込んだ。
「いや、俺の世界のものだったから少し驚いただけだ」
そう言って再び、カップを口に運ぶ。
紅茶にお茶など、妙な組み合わせだが、どちらもウルキオラを落ち着かせた。
「そっか、ウルキオラさんは、東方のご出身なんですね」
シエスタははにかんだ笑みを浮かべた。
「まあ、そんなところだ。ところで、よく俺がここにいるのがわかったな」
ウルキオラがそういうと、シエスタは顔を赤らめた。
「え、えと、その。ここにウルキオラさんがいるのを見かけて…」
「そうか」
ウルキオラは愛想のない返事をした。
シエスタは、ルイズやアンリエッタとは違う、野に咲く可憐な花の魅力がある。
大きな黒い瞳に、黒い髪はまるで日本人のようで、低めの鼻も愛嬌があって可愛らしい。
「ね、ウルキオラさんの国ってどんなところなんですか?」
「俺の国?人間の国のことか?」
「人間の国?人間以外の国があるのですか?」
シエスタは可愛らしく首を傾けた。
「ああ。俺の世界には人間、死神、虚がいる」
「し、死神!?」
シエスタは怯えた顔で言った。
「お前が想像しているものじゃない。見た目は普通の人間だ」
「そ、そうなんですか…」
シエスタはウルキオラの言葉で落ち着きを取り戻した。
「じゃあ、ウルキオラさんもその死神なんですか?」
シエスタはキラキラした目で言った。
「まさか…俺は虚だ」
「虚…ですか?」
シエスタはウルキオラに聞き返した。
「ああ、死神とは千年以上争った仲だ」
「千年も!因縁の仲なのですね」
シエスタは心底驚いているようだ。
「まあな」
「でも、見た目は全くの人間ですね」
シエスタはくすくすと笑った。
ウルキオラは溜息をつき、服のファスナーを下した。
シエスタはいきなりファスナーを下したウルキオラに驚き、目を手で覆った。
指の隙間からウルキオラの胸を見たシエスタは驚いた。
胸に穴が開いているのだ。
シエスタは驚いて、椅子から飛びあがった。
「む、胸に穴が!た、大変!すぐに水メイジを!」
シエスタはあたふたして、足をバタつかせている。
「慌てるな。これは虚になるときに失ったものだ」
ウルキオラの言葉にシエスタはなんとか落ち着きを取り戻した。
「死んだりしない」
「本当ですか?」
シエスタは再び椅子に腰を下ろし、ウ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ