第3部 始祖の祈祷書
第3章 始祖の祈祷書
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マンは髭を捻りながら言った。
「気づいたか。まあ、俺も理由までは知らんがな」
ウルキオラの言葉を最後に、暫しの間沈黙が流れた。
すると、コルベールが沈黙を破るかのように口を開いた。
「青い髪の男がウルキオラ殿の胸の穴に入れていたものは……それに、刀が突然消え、獣のような姿になりましたな。あれは一体…」
「あれは反膜匪対象の相手を閉次元に閉じ込めておける。そして、獣のような姿になったのは刀剣解放。俺たちの力の核を、刀の形に封じていたものを、解放することだ」
ウルキオラは腰に差した残魄刀の柄に、左手を置いた。
すると、左手に刻まれたルーンが光輝く。
「つまり、刀剣解放は、俺たちの本当の力と姿の解放を意味する」
その言葉に、ルイズは戸惑っていた。
「じゃ、じゃあ、あんたもあんな風に変身するってこと?」
「無論だ」
その言葉で三人は言葉を失った。
ウルキオラはオスマンに向き直った。
「例の件、忘れるな」
「わかっておる」
オスマンは溜息をつきながら言った。
「最後に一ついいかの?」
「なんだ?」
ウルキオラはまだ何かあるのか、と言いたげなな顔である。
「あの青い髪の男は、十刃なのかね?」
「ああ」
「何番目なんじゃ?ウルキオラ君より上かの?」
オスマンの言葉にルイズとコルベールは、息をのんだ。
「あいつは、六番だ」
ウルキオラの言葉に三人は唖然とした。
あれほどの力をもってしても、まだ六番目だからである。
それ以上に、目の前にいるウルキオラが、あの男よりも二階級上だということの方が驚きである。
ウルキオラはそんな三人の様子を気にも留めず、扉に向かった。
「戻るぞ、ルイズ」
それだけ言ってウルキオラは学院長室から退室した。
「ま、待ってよ、ウルキオラ」
ルイズもその後を追い、オスマンに「失礼しました」と一言残して去って行った。
ウルキオラとルイズが退室した学院長室は、静寂に包まれていた。
「ミスタ・コルベールや」
オスマンの一言で、静寂はかき消された。
「はい」
コルベールはどこか、意識が飛んでいるようであった。
「もしかしたら、彼は『イーヴァルディー』などでは収まりきらない存在かもしれんな〜」
「そう、ですな」
窓から差し込む、太陽の光が、コルベールの頭を部屋以上に照らしていた。
その日の夜、ウルキオラはヴェストリの広場でオスマンが用意してくれた椅子に座り、紅茶を飲んでいた。
本を片手に、紅茶を飲む姿は、誰もが足を止めるほど、似合っている。
「相棒は本当に紅茶が好きだな」
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