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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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復の兆しも見えている。ならば、俺が出る幕はない。となると、現時点では特にこれ以上やる事がなかった。結局のところ、俺がここに残った理由は万が一に対する備えである。……少なくとも表向きは。
「それで、これ以上俺に何を訊きたいんだ?」
 振り返り、問いかける。相手はもちろんリンディだった。そもそも、ユーノが今もなお海鳴市――ウチに留まる理由は、彼女達の本拠地へと帰るための道がまだ閉ざされているからであるらしい。つまり、アースラもしばらく動けないという事になる。アースラがこの空間に留まるというなら、プレシアに異変が生じてから呼びだしたところで別に問題はない。いくら情緒不安定とはいえ、何の前触れもなく再び魔物化するほどには今の彼女は不安定ではないのだから。だと言うのに、
「あら、何の事かしら?」
 この女狐が。白々とよく言ったものだ。
「用がないなら帰るぞ」
 ジュエルシードが手元にない以上、再度魔物化する可能性は低い――と、多少脚色はしているが……ともあれ、魔物化の兆候がない事はすでに説明してある。プレシアにもリンディにも――フェイトにもアルフにもクロノにもだ。それを理解できない訳でもないだろうし、その程度では安心できないなどと言い出すほど肝が細い訳でもあるまい。
「ごめんなさい。足止めをした事については申し訳なく思っているわ」
 取りあえず、その言葉には誠意が感じられた。だからこそ、黙って先を促す。
「実は報告を上げる時に、どうしてもあなたの事に触れない訳には行かなくてね。第九七管理外世界――つまり、地球には魔法文明がないものとされてきたのに、魔導師が存在した、しかも未知の術式を使うとなると、どうしても情報収集をしないといけないのよ」
「宮仕えも大変だな」
 取りあえず笑ってやる。リンディの返事は大体予想通りだった。
「そう思うならもう少し協力してもらえるかしら?」
「禁術や代償、生贄と救済、各組織について。俺としてはもう随分と話したつもりでいるんだがな」
 正直、少し喋りすぎたと思う程度には。おおよその概要には全て触れたはずだ。
「もう少し詳しく……具体的な技術について訊きたいのよ」
 どうせそんな事だろうとは思っていたが。だが、
「……そんなもの、教えろと言われて教えると本気で思っているのか?」
 別に全てが全て秘匿とされている訳ではないが、近代の――つまり、新世界において普及した新型供物の製造には色々と機密事項が多い。もちろん、刻印の技術も同様だ。各組織の秘奥がそこには秘められている。それらは無数の魔法使い達が文字通り命を賭して磨き上げてきたものだ。それを横から掻っ攫われるのは良い気分ではない。それに、俺自身が手を加えた供物は――あるいは切り札と呼べる供物は、どれもかなり特殊なものだった。例外もあるが、基本的には根源にある
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