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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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いんだ。確か夕暮れ時だったから風呂の用意か何かをしに行ったんだと思ったが……」
 はぁ――と、困ったような顔でこちらを見てくる一同の視線を持て余しながら続ける。そんな顔をされても、俺も困る。
「ともかく、ちょうど部屋を開けていた時に宿題を終えたなのはがお菓子とかジュースとかお盆に載せて俺の部屋にやってきたらしくてな。部屋に入って電気をつけた途端――」
『……ソイツの顔にそのデカい蛾が飛びかかったんだ。で、床にジュースとか全部ぶちまけやがった』
 リブロムが呻いた。いや、それくらいで済んでくれればいくらか楽だったのだが。
「それくらい驚いたはなのはは、悲鳴を上げながらとっさに払いのけようとしたらしいんだが……」
 ため息と共に続ける。 
「その時にちょうど掴んだのがリブロムだったんだ」
 そんなに長い事離れるつもりもなかったから、ベッドの上に出しっぱなしだったのが不味かったな――そんな事を今さらながらに反省しつつ、
「それで、リブロムを見てさらに驚いて――」
『手当たり次第に無茶苦茶に振り回しやがったんだ』
 それはもう随分と大暴れしたらしい。ちなみに、迷い込んだ蛾はその隙に逃げていったようだ。俺が部屋に戻った時は影も形もなければ潰された痕跡もなかった。その代わり、
「ちなみに俺が部屋に戻った時には、何を思ったか知らんが泣きながら零れたオレンジジュースに向かってリブロムを叩き付けていた」
 鬼気迫るというか何と言うか――もはや我を忘れていたとしか言いようがない。俺も思わずたじろいだくらいだ。
『しかも表表紙だぞ! ジュースは目に沁みるし、顔は痛てえし、ふやけるし……』
 と、まぁ事の顛末は大体その程度の事なのだが――
「ええっと……。それだけ?」
 困惑した様子のリンディに向かって呻く。
「それだけってお前な……。こっちは大変だったんだからな。なのははそのまま熱出して寝込むし、リブロムは完全にへそ曲げやがるし、部屋は荒れ果ててるし、絨毯の染み抜きもしなけりゃならなかったし――」
 正直なところ、あの時ほど誰でもいいから早く帰って来いと思った時はない。
「わ、私そんなことした覚えないよ?!」
「そりゃそうだろ。翌朝熱が下がって起きてきた頃には、全部悪い夢って事で自己解決してたからな」
 ちなみに、なのはが目を覚ますまでの間、帰って来た士郎と桃子と顔を突き合わせてどこまでの事を話すか、かなり真剣に話し合っていたのだが――それも取りあえずお蔵入りになった。それが良かったのか悪かったのかは分からないが。
「あううううう……」
 頭を抱えてしまったなのはに、ため息をつく。
「ま、まぁまぁ。その頃のなのはは魔法とか知らなかったんだから。それはびっくりするよ。ね、アルフ」
「そ、そうだよ。大体その本人相悪いしさ!」
 フ
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