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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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いてから、もう少し詳しく説明をする。
「右腕に魂を取り込む際、相手の生前の記憶や感情まで取り込む事がある。言うまでもないがそれはその人間が最期まで強く思っていた記憶であり感情だ。その強い遺志に飲まれると、まるで自分のものだと錯覚を起こす。感情であればそれを受け継ぎ、記憶であれば自分の記憶と置き換わる事すらある。これも代償の一つ……いや、いっそ呪いと言ってもいいだろう。そうして自分と何人もの他人の記憶や感情が入り混じり、区別がつかなくなる。継ぎ接ぎされた記憶によって彼女の相棒は徐々に別人になりつつあった。いや、違うな。本当に別人になってしまったんだ」
 それが、恩師の相棒である『マーリン』なのだが――今はそれに触れる必要もあるまい。今はニミュエの出生の秘密に触れるだけでいい。いや、その前にこれだけは言っておかなければなるまい。
「誤解を招かないように、これだけは言っておくが。別にそれは死人が蘇ってきた訳じゃあない。『自分』を失った結果、その空白に『誰か』が住み着いただけだ。それに完全に『自分』が消えてしまった訳ではない。あくまで境界線を見失っただけだからな。簡単に言えば、矛盾する記憶や感情に何とか整合性をつけようとした結果の産物だ。だから、そこに生じるのは少なくとも二人以上の人格や記憶が入り混じった全くの別人に過ぎない」
 つまり、今の自分のように。かつて■■■■■■■■■■■と呼ばれていた『自分』と、■■■■と呼ばれていた『自分』。今の自分――つまり、御神光とはその二人の人格が融合した結果生まれたものだ。リブロムによる追体験により■■■■■■■■■■■の記憶をいくら取り戻したとしても……その遺志を受け継いだとしても■■■■が消えてなくなる事はない。例え表出してくる事はなくとも、必ずどこかに存在している。だから、自分は御神光なのだ。フェイトがアリシアにならなかったように、自分も■■■■■■■■■■には――あるいは■■■■には戻れない。
「さて、話を戻そう。別人になった彼は、モルガン……つまり、自分の相棒の事も忘れてしまった。それこそ試験やら掟やらの影響もあって仲間意識が希薄な魔法使いにとって、相棒とは重要な意味を持つ。そこに男女の仲が追加されればなおさらだな。だからこそ、取り残された彼女は深い孤独に陥り、その果てにとある禁術に手を出した」
「禁術……。あの炎の巨人や剣と同じですか?」
 ユーノの言葉に頷く。
「ああ。彼女は禁術を用いて自分の複製を生み出したんだ。詳しくは分からないが……おそらく術の目的から考えて代償は子宮か何かだろうな」
 正しく言えば、彼女が縋ったのは禁術ではなく聖杯だが――差し出した代償はおそらく変わらない。
「それが、ニミュエさん?」
 少しだけ震えが宿ったフェイトの言葉に頷く。
「そうだ。モルガンはその複製を娘と
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