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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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の姿が光と共に消える。一瞬の事だ。名残を惜しむ暇もなければ、見送るべきものもない。それでもしばらく、空を見上げてから――
「さ、俺達も帰るか?」
「うん!」
 そこに背を向けて、歩き出した。……俺達も帰るべき場所へ向かって。




 そして。これは家に帰るまでの僅かな道のりでの出来事である。
 今日は休日である。その昼下がりとなれば、街は普段より活気づく。いつもより密度を増した雑踏の中を歩く。別に珍しくもない。そこ広がるのは見慣れた街の見慣れた道だ。
 そんな中で。俺はとある少女とすれ違った。それ自体は特別珍しい事はない。その少女が――なのはと同い年程度の彼女が車椅子を使っていたとしても。
 だが、俺はそこで足を止めていた。他人の流れに逆らって――取り残されて、その場に立ち止まる。振り向いて、彼女の姿を探した。ちょうど彼女は運転手の手助けを得てバスに乗り込むところだった。走り去るバスを呆然と見送る。
「どうしたの、光お兄ちゃん?」
 なのはの声が酷く遠くに聞こえた。その時、俺の意識はたった一言で完全に支配されていた。ようやく収まった殺戮衝動よりも鮮明に、完璧に、徹底的に。
 見ツケタ――!

  ――そして、再び世界の終わりが動き出す


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