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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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ロノは頷いた。
「分かってる。一年以内に決着をつけて見せるさ」
『そいつは大きく出たな』
 それは違いない。仮にも世界を滅ぼしかけた人間を一年以内に自由にするとは、随分と大きく出たものだ。
「そうかな。僕は単身で管理局に喧嘩を売った人間と出くわした事があるぞ」
 そいつに比べれば大した事じゃない――と、珍しくクロノが冗談を言った。いや、あながち冗談ではなかったのかもしれないが。だが、
「似たり寄ったりだろ?」
 そんなものは、喧嘩の売り方が違うだけだ。
「違いない。今や立派な共犯者だよ」
『そいつは災難だったな』
「全くだ」
「……お前が言うな」
 益体もないやり取りをかわしていると、リンディとプレシア、さらに号泣したままのアルフが近づいてきた。どうやら本当に時間らしい。
「それじゃ、なのはさん。元気でね。……ユーノ君と光君とはまた会うかと思うけれど」
 ひとまずの取引は成立している。次に管理局がこの世界に近づくのはフェイト達を届けに来る時であり……それが最後になる予定だ。もっとも、プレシアが『長距離出勤』する事になればその限りではない――いや、そうでなくとも何かしらの接点は残される事になるのだろうが。ちなみに、ユーノはまだしばらくこの世界に残留するつもりらしい。何でも彼の故郷に向かう『航路』はまだあの魔石の影響で使用不能だという。
「ああ、分かった」
 フェイト達の裁判で証言する必要があるかもしれない――俺に関しては、それが理由だった。さらに言えば、そのついでにユーノ連をれていくつもりのようだ。それはいいのだが――
(面倒な事にならなければいいけどな)
 リンディの言う通り、証言する事が必要なのは疑いない。それ自体に別の思惑を疑うのは無意味だ。もっとも、その状況を利用されないとも思えないが。
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
 リンディがプレシア達に呼びかける。ええ――と、プレシアが頷いた。
「……思い出にできるの、こんなものしかないけど」
 それを見てから。愛用のリボンを解き、なのはが小さく呟いた。
「ううん。ありがとう。……じゃあ、私も」
 フェイトもまた、黒いリボンを解きなのはに渡す。
「ああ、そうだ……」
 交換されるリボンを見て、ふと思い出した。俺にも渡さなければならないものがある。
「プレシア女史。これを返しておこう」
 法衣の懐からそれを取り出す。
「それは?」
 リンディが首を傾げた。空色のリボンが結わえられた金色の宝玉。一見すれば、それはその程度の代物だ。だが、違う。
「これは供物だよ。俺がデバイスの代わりに使っている物と基本は同じだ」
 だから、管理局の関係者には何も見なかったし聞かなかった事にしてもらうが――と、その正体を知るプレシアの顔が驚きに染まるのを見ながら告
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