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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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「あなたは?」
 それでも、自分で訊く事に――自分の言葉で伝える事には、きっと意味がある。驚いたような、困ったような顔をする彼女を見つめて、返事を待つ。
「私は、フェイト。フェイト・テスタロッサ。……よろしくね、なのは」
「うん! よろしくね、フェイトちゃん」
 ようやく。ようやく、本当の意味で名前を呼ぶ事が出来た。思わず抱き付いていた。きっと、これが始まり。私達の物語は今始まったのだ。そう思う。
「あのね、なのは」
 しばらくして、フェイトが少しだけ躊躇ったように言った。
「海でジュエルシードを封印した時に、なのはが言ってくれたこと。友達になりたいって言ってくれたこと」
 うん――と、頷いて待つ。そうだ。その返事も貰わないと。
「私でよかったら……私はなのはの友達になりたい。でも、どうしたらいいのか分からなくて……」
 困ったように。戸惑ったように。……少しだけ怯えたように。フェイトは言った。彼女の物語も、きっとまだ始まったばかりなのだ。だから、
「友達だよ」
 少しずつ。色んな事を分け合っていけたらいいと思う。
「名前を呼んでくれて、友達になりたいって思ってくれるなら。……私達はもう友達なんだよ」
 その手を握って、そっと笑う。
「フェイトちゃんが帰ってくるの、ずっと待ってるよ」
 きっとこれから、楽しい事だってたくさんあるはず。
「うん。絶対に帰ってくるよ。約束する」
 フェイトの笑みが滲む。ああ、もったいない。せっかくフェイトが笑ってくれているのによく見えない。でも、涙が止まらない。
「絶対。絶対帰ってきてね」
「うん。絶対に帰ってくる」
 その時は、みんなに紹介するから――きっとこれから楽しい事だってたくさんあるよ。 だから、みんなで始めよう。私達の物語を。




「そろそろ時間か?」
 別れを惜しむなのはとフェイトを遠くから見守っていると、傍らのクロノが僅かに動いた。もちろん、今までも直立不動だった訳ではないが――それでも、何となく分かった。
「ああ。残念だが……」
 そろそろ旅立ちの時らしい。もっとも、
『別に大げさな事じゃねえだろ。オマエ達が約束を破らねえ限りはな』
 そう言う事だ。別に永遠の別れなどではない。
「それはそうだが……。彼女達にとっては長い別れだろう」
 ここ数日で、クロノに対する認識はいくら変わっている。思った以上に融通が利かない訳ではないらしい。単純に不器用で……加えて素直ではないだけだ。青臭い若造だ――と笑うのは簡単だが、
(俺だってそう変わりはしないか)
 今の自分の未熟さはこの一ヶ月そこそこで嫌と言うほど思い知ったところだ。クロノの事を未熟で青臭いと笑うなら、自分の事も笑わなければなるまい。
「そう思うなら早く帰らせてやれよ」
 言うと、ク
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