魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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きるまでは」
魔法とは――戦いとは無縁の生活をして欲しいというのは、所詮俺自身の勝手な望みに過ぎないが……彼女達には自由に生き方を選んで欲しいと言うのは、間違いなく俺の本心だった。そして、
「プレシアだって今はようやく母親になったばかりだ。と言うより、あの親子はまだ生まれたばかりだからな。それ以上の重責はまだ背負えないだろう」
世界を守ろうというなら――彼女達がようやく取り戻したその小さな世界も守られなければならない。なのはもフェイト達も世界を救うための生贄になどさせない。
しかし、こんなものは所詮、当事者達を無視した身勝手な連中の身勝手な会話に過ぎない。それにも関わらず、下手をすれば彼女達の脅威になりかねないのだから性質が悪い。
そして、何より最悪なのは――自分とリンディのどちらが脅威であるのかが分からない事だ。あるいは両方ともが脅威なのか。
答えなどでそうにもないその疑問を首を振って追い払う。自分が断言できる事は、結局のところ自分の事だけなのだ。
「俺にも目的がある。それを果たすまで、お前達に関わっている暇はない」
いや、あるいは関わらざるを得なくなるのかもしれないが。もっとも、それはおそらく
リンディが望む様な形にはならないだろう。自分達の道が交わらないであろう事は想像に難くなかった。それでも成し遂げる。その覚悟がある。
例えそれが彼女の言う『世界』に混乱をもたらすとしても、だ。
だから、これは結局身勝手な連中の身勝手なやり取り以外の何ものでもないだ。
5
そして、ついに光が家に帰って来れる日がきた。それはとっても嬉しい事だけれど、今日は手放しには喜べそうにない。光が帰ってくるという事は、あの子達が遠い別世界に行ってしまうという事だから。もちろん、すぐに帰ってくるという約束ではあるのだけれど……。
「……これからしばらくお別れ、なんだよね?」
分かっている事だったけれど、思わず訊いてしまった。話したい事はいくらでもあるのに、言葉にならない。喉の奥で話したい事が全部絡まっているようでとてももどかしい。
「うん。……少し、長くなるかもしれない」
でも――と、彼女は少しだけ笑った。
「でも、必ず帰ってくるよ。それは全部、光とあなたのおかげ」
たくさんの人に迷惑をかけた事には変わりないけれど――その言葉を、首を振って言葉を止める。そうかもしれない。けれど、本当の意味で何かが終わってしまった訳ではない。きっとまだやり直せる。嫌な事も辛い事も沢山あるけれど……世界はきっとそれだけじゃない。今は――今ならそう思う。大きく深呼吸してから、
「私、なのは。高町なのは。私立聖祥大付属小学校三年生」
あのね――と、私は改めて言った。お互いにもう名前は知っている。そんな事は分かっていた。けれど、
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