魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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でしょうけど……彼女達の抱える事情全てを話すのは無理でしょう?」
その点でミッドチルダ――つまり、彼女達の本拠地なら別に問題にはならない。リンディの主張はそうだった。
「なるほど。良い餌を見つけたな」
住居が海鳴市になる事を考えれば、史上稀にみる長距離通勤になりそうだが、それはともかくとして。条件としては悪くない。……お互いに、だ。
「……ええ。そう言われると思ったわ」
プレシア達に対する心理的な支援は間違いなく必要だった。それを受けるにはリンディ達の協力がいる。危ない橋を渡らずとも減刑が受けられるなら、それに越した事もあるまい。それもまた、否定できない事実であり、リンディの提案は渡りに船だ……が、管理局という『組織』からの提案だとするなら、少しばかり話は変わってくる。
減刑という餌をちらつかせることでプレシアとフェイトという有能な魔法使いを抱え込めると同時に、俺との――というより、向こうにとって未知の『魔法』との接点も間接的に保てるという訳だ。さらには彼女達を籠絡するあるいは拘束する事で情報を絞り取ることも不可能ではなくなる。……それなら、何か俺にも恩恵が欲しいところだが。
ともあれ、それで一番得をするのは管理局だという事は何ら変わらない。やれやれ、欲深い事だ。もっとも、そうでなくては他の世界まで支配する事なんて出来る訳もないか。
「彼女達の身柄だけじゃなくて、俺達の身柄の解放も条件に入れておくべきだったな」
やはり詰めが甘かったらしい。これは生贄にした恩師の呪いに違いない。永い人生の中で何度もした言い訳を再びしておく。それで何が解決する訳でもないが。
「そこまで嫌わなくてもいいんじゃない?」
「嫌わない理由もないだろう?」
当初ほどの悪感情はないとはいえ――それでも、少なくとも俺には友好的な関係を築こうと思うだけの理由などない。プレシア達の身柄を素直に引き渡してもらうために、ある程度の譲歩を必要とされているだけだ。……やはり管理局そのものへの敵意は消えていないのだと改めて自覚する。だが、
「というより、そっちの不始末……世界を滅ぼせるような危険物を他人様の庭にばら撒くなんて深刻な不始末のケリをつけてやったのに、まだそれ以上を要求されているんだ。俺じゃなくたって嫌うだろうさ」
今も燻ぶる正体不明の憎悪を差し引いたとして――この状況を喜ぶ奴がいるなら、そいつはどこぞの変態騎士か亀野郎の同類だろう。いっそ生まれ変わりを信じてもいい。
「別に全部が全部アンタの思惑だとは思わないが」
ため息をついてから――念のためいつでも動けるように重心を整えてから、告げる。
「もしもそちらがこれ以上難癖をつけて俺や彼女達を支配しようとするなら、その時は覚悟してもらうぞ。契約を反故した報いは必ず受けてもらう」
もっとも、今の
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