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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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して概ね平穏が続いていた。時折リンディやクロノと腹の探り合いをする羽目になったが……それについては向こうも仕事だと割り切るより他にない。幸い、管理局に対する得体の知れない敵意は治まった。いや、意識の奥底に沈められただけか。少なくともリンディやクロノ達にはもう当初ほどの悪感情は抱いていなかった。
 フェイトはすでにほぼ回復しており、時々は病室から出てアースラ内を散歩している。もちろん、低下した体力を回復させる治療の一環に過ぎないが。
 フェイトの回復に伴い、プレシアの精神状態も落ち着いてきた。経過は良好だと言える。今後の大きな問題は魔物化ではなく、『魔法』同士の干渉だろう。代償として残った俺達の『魔法』と彼女が本来有していた『魔法』は今も干渉しあっている。このままではどちらの魔法も使えそうになかった。もっとも、それについては彼女達が海鳴市に越してきてから対応を考えればよさそうだった。
「今魔力を取り戻してもどうせ封印されるだけよ。それなら、使えない今の状況の方を維持した方が後々楽なんじゃないかしら。こちらとしても封印解除の手続きが省けるし」
 とはリンディの言葉ではあったが――まぁ、それならそれで構いはしない。どうせ一昼夜で対応できるような問題でもない。ある程度の情報も収集した事だ。あとは急がずに研究していく事としよう。
 プレシアの経過と言えば、フェイトとの関係にはまだ課題は多そうだ。基本的にはお互いに歩み寄ろうという意思はあるのだが、プレシアがフェイトに負い目を感じているのは明らかであった。フェイトが寝込んで以来ずっと付き添っているが、『親子』だと言えるほど深い部分にまでは踏み込めていない。一方のフェイトも、自分から触れようとする分にはさほど問題ないのだが、プレシアから急に触れられると身体を強張らせてしまう。その根底には、やはり長年の虐待に対する恐怖があるのだろう。というより、ない方がどうかしている。実際のところ、自分から触れるにも相応の覚悟が必要なのではないかと睨んでいる。ついでに言えば、アルフはまだまだプレシアを敵視していた。これは露骨過ぎてどうにもならない。いや、陰湿な対応でないだけまだマシか。
 だからだろう。リンディからこんな提案があった。
「減刑を目的とした管理局への協力、ね。どうやらよほど人手不足と見えるな」
 ロストロギアに取り憑かれたからだとしても、世界を滅ぼしかけた事には変わりない。そんな相手に対して表向きは更生の証として――本当の目的は減刑のための取引として、管理局直下の研究所で働かないかという提案をしてくるとは、向こうの人手不足はなかなか深刻であるらしい。
「それは否定しないわ。でも、プレシアさんにとってもフェイトさんにとってもアルフさんにとっても、もう少しカウンセリングが必要になるわ。地球でも受けられない事はない
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