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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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のは『奴ら』の力や知恵だ。それを如何に人の身で使えるようにするか。俺の魔法の基本的な発想はそこに集約すると言って過言ではない。それを教えれば……まぁ、どれほど控えめに言ったところで、ロクでもない事になるのは疑いない。
「そう言われると思っていたわ」
 それは何よりだ――肩を落とし、ため息をつくリンディに笑って見せると、彼女はさらに深々とため息をついた。
「まぁ、それはともかくとして。報告と言う意味では、禁術については少しぼかしておいた方がいいと思うのよ。いくら多用できないとはいえ、複数のロストロギアを強引にねじ伏せられる力を一個人が持っているとなると色々と面倒な事になるわ」
 抜け目のない事だ――今度は俺がため息をつく番だった。『禁術をぼかすため』と言う名目で、あとどれだけ情報を絞り取られる事やら。だが、
「……まぁ、いいだろう。ここでプレシア達の引き渡しを餌にしてこなかった誠意を買って、もう少しだけ付き合おう」
 言うと、リンディは少しばかり顔をひきつらせた。次の餌がそれだったのか、
「……まずはあなたとの関係改善をした方がいいみたいね」
 それとも、それが本音だったのか。ともあれ、こちらも管理局について多少は情報を得ておかなければならない。この機会に絞り出してみるとしよう。
(しかし、関係改善と来たか)
 どうやら私達はとことん嫌われているみたいだし――と、ため息をつくリンディを見て、声にせず呻く。
 あの魔石――ジュエルシードにまつわる事件は一通りの解決を見た。だが、実はまだ謎が残されていた。関係するのは俺だけだが――未だに答えが分からない。
(殺戮衝動は間違いなく消えた。なら何故、俺はまだ管理局に対してここまで悪感情を抱いている?)
 右腕に由来する衝動は確かに消えた。それは間違いない。だというのに、管理局と言う存在に対しては、それこそ殺戮衝動にも似た感情が消えない。
(と、なるとやはり――)
 管理局を敵視していたのは、殺戮衝動の影響ではなくて――
(俺自身が殺したかったんじゃないか?)
 今思い返せば不自然なほどの敵意。衝動に呑まれていない時にも続いたそれは、やはり自分自身を説得するためのものではなかったか?――それこそ、こと管理局に対しては殺戮衝動さえもその言い訳でしかなかったのではないか。いよいよそんな疑念が強まる。
(だが、いくら何でもそんな事がありえるか?)
 いくら組織にロクな印象がないとはいえ、そこまで嫌悪している訳でもない。そもそも自分の生き方とは折り合いが悪いというだけで、組織そのものの有用性を否定する気などないのだ。それに相手は仮にも司法組織である。それを壊滅させた場合、その先にあるのは大きな混乱だ。しかも、組織の性質上その混乱は複数の世界に及ぶ。そんなものは俺自身も望む所ではない。
 そ
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