Interview5 大遅刻ファースト・コンタクト
「ジョウトウクだってパパが言ってた」
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くね、ルドガー」
「よろしく、ジュード」
よろしく、恋敵さん。――ルドガーは心中のみでこっそり呟いた。
「込み入った話になるから中入りたいんだけど……いつも通りね」
研究室の中を覗き、ルドガーも理解した。
あちこちに乱雑に文書や資料が積まれ、床までそれが侵食している。
「どこに何を置いたかは把握してるんだけど……」
「それ、片付けられない人のジョウトウクだってパパが言ってた」
「エルのパパは厳しいなあ」
とりあえず専門書や資料を隅に避けて、座れるだけのスペースを確保した。
対談形式になって、ルドガーはようやく話すことができた。
列車テロに巻き込まれてから発現した謎の異能。
同じチカラを持つらしいのに教えてくれなかった兄。
そして、蝕の精霊を名乗ったイリス。
「――と。こんな感じだったんだけど……」
するとジュードは、好奇心でも畏怖でもない――憐憫を、ルドガーに向けた。
「そっか。ここに来るまで本当に大変だったんだね。僕が言うのも変だけど、うん、お疲れ様、ルドガー」
「あ……」
暖かい。
レイアといい彼といい。どうしてリーゼ・マクシアの人たちはこんなに暖かく接してくれるのだろう。
望まない形で借金をしたルドガーでも、債務と移動制限のせいで人が離れていくのは理解できた。もしも知り合いが同じ立場になれば、関わりは避けたいと思う程度には、ルドガーは平易な感性の持ち主だ。
その視えない壁を、レイアもジュードも易々と越えて来た。
(特にジュードは。結構前から勝手に恋敵だと思って敵視してたから)
「ど、どうかした!? 僕、何か変なこと言った?」
「言ってない。ただ、ちょっと前の俺ブン殴りてえ〜、って思っただけ」
ジュードは首を傾げていたものの、理由が理由だけに言えないルドガーだった。
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