Interview3 鍵の少女、殻の悪女
「あぶなくても大事なの!」
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ビズリーの下に残されたエルは、ルルと共にビズリーから少し離れた位置にいた。
(…このおじさんのそばにいたくない…いちゃいけない……ひとりで行かなきゃいけなくなるから…)
巨漢である以上に、ビズリーに対してエルの中の何かが警鐘を叩いていた。
(カナンの地は…… と…いっしょに行く、ヤクソク、だから…ふたりで、いっしょ……ヤクソク…)
ルルが後ろ足で立ってエルの胸にもたれた。エルはルルを抱っこしようとして、気づいた。
「時計がない!!」
列車の揺れも物ともせず立ち上がった。
頭の中がぐるぐるしている。あの時計は父親に託されたオンリーワンの品。そして、 とエルを繋ぐ絆なのに。
エルは走り出した。ルドガーは先頭車両に行くと言った。彼を追いかければ時計は戻ってくる。根拠もなくエルは信じていた。
「お嬢さん、動くと危ないよ」
テロ真っ只中とは思えない優雅さで座席に座っていたビズリーから、声がかかる。
「あぶなくても大事なの! あれがないと、ルドガーにカナンの地に連れてってもらえないんだから!」
自身が放った台詞のおかしさにも気づかず、エルは夢中で先頭車両に向かった。
ルドガーとレイアは先頭車両に向けて快進撃を続けていた。
「円閃打!」
レイアの棍がアルクノア兵を床や天井に叩きつけて沈黙させ。
「鳴時雨!」
ルドガーの双剣がアルクノア兵を瞬息で斬り伏せる。
「はぁ…はぁ…今どの辺かな。大分進んだと思うけど…」
「あった、看板。――2号車。次が先頭車両だ」
「いよいよだね」
「ああ」
先頭車両へ続くデッキの、出入口の両脇で二人は分かれて身を潜める。特に何かが動いている気配はないが、油断はできない。
「わたしが先に行く」
「よせっ。危険だ」
「だいじょーぶ。わたしにはお母さん直伝の棍術があるから」
「その棍術自体、体が弱いハンデをカバーするためのものだろ。ご両親から聞いてるんだからな。できるできないの侮りと、体調を気遣ってるのは違う」
――レイアの取材アシスタントでル・ロンドに立ち寄る機会があった。確かにレイアの母ソニアは空中戦艦でも持ってこないと倒せないくらい強い女性だった。
ソニアも夫・ウォーロックも同時に、ルドガーに教えてくれた。レイアの黒匣事故と過酷なリハビリの日々、虚弱というハ
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