Interview1 End meets Start T
「すぐに外に出してあげる」
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救出するって任務も中にはあるっていうし。この人も試験のためにユリウスが用意したエキストラかもしれない。じゃなくても、俺と同じで巻き込まれた人かも。だったら助けなきゃ)
「動けないの。近くに来てくれない?」
ルドガーは四つん這いで声のするほうへと向かい始めた。
途中から、足場の感触が妙にぶよぶよしたものに変わった。無理やり例えるなら、中に粘土を詰めたゴムホース。
液晶の光で手元を照らす。大掛かりな機械のエンジンチューブらしきものが密集して地面を覆った光景が浮かび上がった。
それらのチューブやらホースやらを辿る内、ほんのりと視界が開けてきた。試験場にいた時と同じ程度の視覚情報を得られるようになったルドガーは、一度留まって顔を上げた。
燐光にて露わになったのは、美しすぎる囚われ人だった。
両手両足、腹、乳房、首、髪さえも繋がれ、前のめりの姿勢のまま吊るされ、四肢の自由を奪われた、女。
恐ろしいのは女を拘束するパイプやチューブやコードが、彼女の皮膚に直結し、まるで血管の一部のように脈打っていることだ。
「なに………してるんだ?」
我ながら間抜けな問いだが、他に尋ねようがない。
「その質問に答える前にひとつ確認させて。貴方にはイリスが何に見える?」
「イリス?」
「わたしの名よ」
「何にって……女の子にしか見えないけど」
あえて「女の子」と言ってみた。彼女の実年齢は分からないが、若く見積もって告げたほうが女子は喜ぶ、と同級生が言っていたので。
「封印した上で人間態に戻したのね、あの番犬。手の込んだ真似を。でも、それなら封印術式さえ解ければ……」
「あ、あのさ」
独り言を連ねる女に思い切って声をかける。
「こんなとこで、何でそんなふうに縛られてるんだ? 誰かに捕まってるのか?」
「捕まっている――そうね、そう表現するのが正しいかしら。正確には、ここに封じられているの。恐ろしきモノ、おぞましきモノと、精霊に見なされてね」
「精、霊」
伝説上の存在。概念を形象化した人外のナニカ。世界は精霊によって創られたと伝える文書もあるが、エレンピオスの国民の大半は、精霊など実在しないと知っている。
ゆえに彼の目には、女は「よく分からない理由で囚われた哀れな人」と映った。
ルドガーは思い切って、イリスに絡まるコードの束をぐわしと掴んだ。
「ちょ!? 貴方、何をしているの!」
「大丈夫。すぐに外に出してあげる」
笑いかけると、イリスは翠の目を丸くした。
コードの絡まりを探しては、力強く握り、足をかけて登る。
入社試験のため、団地の公園の鉄棒を使って懸垂をしてきたルドガーである。ちょっとしたウォールクライミングだと思
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