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バレンタインは一色じゃない
5部分:第五章
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れている。
「顔まであるんだ」
「さっきの兎と同じでしょ」
 確かにその通りである。兎にも顔が描かれているしこの猫に関してもそうである。こうしたところでもかなり凝っていると言えるのであった。
「これも」
「そうだね。それじゃ」
 麻紀子の言葉に応えながらまたチョコレートを手に取る。それを口に入れてみる。その中にあったものは。
「これは」
「シロップなのよ」
 今度はクッキーであった。
「それをホワイトチョコで包んでみたのだけれど」
「へえ、面白いね」
 食べてみればこれはかなりいい。シロップの味が口の中を支配してそれが甘ったるい。これもまたかなり美味しいものであった。
「そこの青い鯨はね」
「うん」
「パイナップルよ」
「ああ、それはわかるよ」
 何故パイナップルなのかは彼にもわかった。
「あれだよね、ブルーハワイからだよね」
「考えたけれどね。それにしたのよ」
 そういうことであった。
「それでオレンジのインコには」
「何かな」
「そのままオレンジ」
 今度はそれであった。
「黒い犬はそのままだけれどコーヒーを混ぜてみたのよ」
「全部色によって違うんだね」
「緑のツリーは悩んだのよ、一番」
 緑のチョコを指差して苦笑いを浮かべるのだった。

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