暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第20話 「ユーリとお出かけ その2」
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を見渡すユーリの姿は、実に子供らしくて可愛く見える。もしも両親が健在だったなら下の子が生まれていただろうし、妹でもいれば今ユーリに対して抱くような感情を常日頃抱いていたのかもしれない。
 店内に入ったこともあって手を繋ぐ必要もないだろうと、俺は力を抜きながら歩き始める。しかし、手が完全に離れる寸前でユーリが再び握ってきた。視線を向けてみると、俺の行動に小首を傾げている彼女の姿が見えた。どうやら手を繋ぐ状態がデフォルトになっているらしい。

「どうかしましたか?」
「いや……何でもないよ。空いてるところ探して座ろうか?」
「はい」

 人気がある店だけあって様々な年代の客が楽しそうに談笑している。ふと視線が合った客からは、兄妹で来ているとでも思われたのか、微笑ましい表情を向けられた。
 少々恥ずかしいと思ったが、人にレヴィと手を繋いでるところを見られたときよりはマシなレベルだ。それにユーリは手を放そうとしないので、どちらにせよ耐えるしかない。さすがに席に座れば放すとは思うが……いや、彼女は至って普通の子だ。ちゃんと放してくれるはず。

「……あれ?」

 ふと聞こえた覚えのある声に俺の視線は自然とそちらに向いた。視界に映ったのは、私服姿の高町。歩いている途中でこちらを発見したような姿勢からして、誰かと一緒に来ていて席を立っていたのだろう。
 高町は挨拶をするためにかこちらに体を向けると近づいてきた。いつもどおり明るい表情だったが、視線が俺から繋がれている手、ユーリへと移っていくに連れて疑問の色が現れる。

「ショウくん……えーと、この子は?」
「あぁこの子は……自分でできる?」
「え、は、はい」

 ユーリは面識のない高町との遭遇に戸惑っているようだが、俺の知り合いということは感じ取っているようで、きちんと挨拶をしようと思ったのか、彼女は俺の手を放して1歩前に出た。

「は、はじめまして、ユーリ・エーベルヴァインです」
「え、あ、はい、ご丁寧に。私、高町なのは……」

 頭を下げて挨拶をしたユーリに触発されたのか、高町も慌てながら挨拶をしながら頭を下げた。結果、お互いに距離感をきちんと掴んでいなかったのか、下げられていたユーリの頭に高町の頭が直撃。鈍い音が響いたのとほぼ同時に、ふたりの悲鳴も聞こえたのは言うまでもない。

「いてて……ご、ごめんなさい!」
「い、いえ……だ、大丈夫ですから」

 大丈夫と言ってはいるが、ユーリの目には涙が浮かんでいる。まああれだけ勢い良く頭をぶつけたならば、涙が出てもおかしくはない。
 とはいえ、シュテル達――特にディアーチェは過保護な部分がある。目に見える怪我をしていなくても、たんこぶを発見してしまうかもしれない。それを考えると事前に報告しておいたほうが面倒にならずに
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ