アインクラッド 後編
それが、本当のわたしだから
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ぴり自身があるんだから!」
そして勢いよく宣言すると、話についていけないらしいマサキ君が顔をフリーズさせて声を上げた。
「いや、そういう話では……」
「あ、ひょっとして食材がなかったりする? んー、じゃあ……いっそ、買出しに行こっか。その方が、好きなもの作ってあげられるし。そういえば、マサキ君は何か好物とかあるの?」
「だから人の話を……!」
「いいから早く。ね?」
抗議の声を右から左へ聞き流し、マサキ君の手を取って家を飛び出す。マサキ君の手は少し冷たくて、握った瞬間に一度小さく震えたけれど、すぐにじんわりとした温度を返してくれる。顔に当たる冷たい空気も、梢の影で鳴いている小鳥の声も、何もかもが心地良かった。
村のメインストリートに差し掛かったところで、わたしは一度振り向く。未だに何が起こっているのか理解できないというような表情で、引き摺られるように走るマサキ君。わたしは空の色を反射してオレンジ色に輝いている雪道を蹴って、一つ心に誓った。
わたしはもう、一人じゃない。友達と一杯話して、マサキ君にも沢山会いに来よう。そして、いつの日か。胸一杯に満ちたこの思いを、マサキ君に伝えるんだ。
そうしなければ、何も起こりはしないから。
それが、本当のわたしだから。
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