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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
断章1:高町なのは
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いた。
そして、警防署の敷地からぼろぼろの制服を纏った署員たちがふらふらと
歩いて出て来る。

「ひどい・・・」

ゲオルグの隣では立ち上がったなのはがその光景を見て同じように絶句していた。
そうしていたのは時間にして数秒であろうか。
先に自失状態から回復したのはゲオルグであった。

「レーベン。 緊急通報するから通信をつないでくれ」

《了解しました、マスター》

ゲオルグの言葉にレーベンが素早く応じ、すぐに通信画面がゲオルグの前に現れる。

『はい、こちらはクラナガン緊急通報センターです。どうしました?』

「本局情報部所属のシュミット3佐だ。 非番中に事故に遭遇したため通報する」

そんな言葉に続けて、ゲオルグは通信相手のオペレータに対して場所と状況を
簡潔に説明していく。
そして最後に、

「至急特別救難隊と緊急医療隊の派遣を要請する。 
 あと、俺ともう1名、戦技教導隊の高町1尉は警防署の内部に取り残された
 生存者の捜索に入る。以上、通信終わり」

と早口に言って通信を切った。
次いでゲオルグは傍らにいるなのはの方に向き直る。
ゲオルグが通信を始める前にはまだ茫然と立ち尽くしていた彼女であるが、
この時には自失状態から立ち直り、既にバリアジャケットを身に纏っていた。

「なのは、聞いてたな? 俺たちは警防署に取り残された生存者の捜索と
 救出に行くぞ。お前は上から、俺は下から。逐次念話で連絡を取り合おう。
 いいな?」
 
「うん、了解だよ」

先ほどまでとはうって変わって凛としてふるまうなのはに、ゲオルグは頷く。

「じゃあ、行くね!」

そう言って飛び立とうとするなのはの腕をゲオルグは掴んで引きとめた。

「チョイ待ちだ。 もうひとつ注意しておく」

「・・・なんなの?」

腕を引かれて強引に引きとめられたことを不快に思ったのか、なのはは僅かに
目を細めてゲオルグの方を見据える。
だが、ゲオルグはそれを意に介することなく続ける。

「こんなことは今さらお前に言うようなことじゃないかもしれないけどな、
 目的は一人でも多くの生存者を救出することだ。
 遺体の収容はもちろんだが、医療隊が到着するまでもちそうもないヤツは
 放っておけ。確実に助けられるヤツを優先するんだ。いいな?」

「えっ!? でも・・・そんなの・・・・・」

少し目を見開いたなのはがゲオルグの言葉に同意しかね、切れ切れに声を上げる。

「いいな?」

だが、ゲオルグはそんななのはに向かって念押しするように語調を強めて言う。
同時になのはの腕を握るゲオルグの手の力が強くなり、なのはは軽い痛みを感じ
僅かに顔をしかめる。

「・・・・・了解」


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