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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
断章1:高町なのは
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よね。 通信ってクリアだから呟きも拾って困るときがあるくらいだもん」

と、両名とも専門家だけに戦闘描写には一家言あるようであったが。

そうして30分ほどかけてゆっくりと料理を食べ終えると、代わって
紅茶が運ばれてくる。
ゲオルグはミルクだけを注ぐと、スプーンで丁寧にかき混ぜてカップを口に運ぶ。
ひと口含んで目を閉じその香りを楽しんだあと目を開けたゲオルグ。
彼の目線の先には角砂糖を2つ放り込んだカップをかきまぜるなのはの姿と
そのさらに奥には通りを挟んだ向かい側にある警防署の建物がある。

「ん?どうしたのゲオルグくん?」

ぼんやりと窓の外に目を向けていたゲオルグの視線を自分を見ているものと
誤解したなのはが声を上げる。
その刹那、警防署の建物の中にオレンジ色の閃光が走る。

「なのはっ!!」

「ふぇ?」

それを見た瞬間、ゲオルグは考える前に反射的に身体を動かしていた。
椅子から立ち上がるとともになのはの名を叫ぶと、なのはの方に身を乗り出して
その襟をつかみ自分の方へと引きずり込む。
と同時にテーブルの足を蹴り飛ばして床に倒し、その天板の影に隠すように
なのはの身体を床に押し付け、自らはその上に覆いかぶさった。

「ぐえっ!」

床に叩きつけられたなのはが奇妙な声を上げる。
直後、轟音とともに店のガラス窓が吹き飛び、店内にその破片が降り注いだ。
店に居合わせた他の客と店員が悲鳴を上げる中、ゲオルグはなのはに
覆いかぶさったまま微動だにしなかった。

そしてしばらくして轟音が収まると、ゲオルグは顔を上げて回りの様子を確認する。
通りに面した大きな窓ガラスは完全に吹き飛び、店の床にその破片が散乱していた。
幸い、ゲオルグたち以外に窓際の席に座っていた客はいなかったおかげで
大きな怪我をした者は店内には居ないようであった。
とはいえ小さな切り傷を負ったのか、腕を押さえるウェイトレスの姿もあった。

「ゲ、ゲオルグくん・・・」

耳元で聞こえる声に反応してゲオルグは顔を向ける。
するとすぐ近くから自らの顔を見上げるなのはと目があった。
予想外に間近にあったなのはの顔にゲオルグは一瞬固まる。
一方、なのはの方もゲオルグの胸元に頭を抱き寄せられていたせいか
その頬は上気してほんのり赤く染まっていた。
そのままの姿勢で数秒、2人は見つめあう。

「ゲオルグくん、重いからどいて欲しいの」

「あっ・・・ゴメン」

ゲオルグはなのはの言葉で我に返り、慌てて立ち上がった。
そして窓の向こうに広がる景色に絶句した。

警防署の建物からは黒煙がもうもうと上がり、1階は大きく破壊されていた。
通りにはたまたま通りかかったであろう通行人と思しき血塗れの人々が倒れて
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