暁 〜小説投稿サイト〜
剣の世界で拳を振るう
デスゲーム開始
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空一面区切られるように、その境界線から血の様な赤い液体が滴り落ちてくる。

まるでそれは意思を持つ生命のように、一箇所へと集まる。
そして最後には赤いフードで顔が見えない巨大な人間の姿へと変貌した。
  
その場の人間全員がこの光景に驚愕を示した。
驚くもの、怖がるもの、楽観視するものと、様々な反応だ。
そして巨大な魔法使いのような姿の人間は両手を広げ―――

『プレイヤーの諸君……私の世界へそうこそ……』

――街中に響き渡るような声量で話し出した。

「私の世界……ね」

『私の名前は茅場明彦……いまやこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

茅場明彦。
このゲームを購入した者なら誰もが買っているであろうナーヴギアについての本。
そして、ゲーム界の新星と謳われている人物だとすぐに理解できる。
場の人間の殆ども知っている存在なのだ。

『プレイヤー諸君は…既にメインメニューからログアウトボタンが消滅している事に気づいていると思う。
しかし、これはゲームの不具合では無い。繰り返す、不具合ではなくSAO本来の仕様である。』

「いや、不具合だろ。ログアウトさせろよ」

俺は一人突っ込みをして俺自身のメンタルの上昇を試みる。

『諸君は自発的にログアウトする事は出来ない。
また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止、あるいは解除もありえない。
もしそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる』

そんな言葉。
ログアウトしようものなら、現実世界ででもログアウトするよう設定させられているとのことだった。
しかし、いきなりそんな事を言われても人と言う生き物は信じることができない。
場を盛り上げる演出だろうと結論付け、何名かは動き出した。

だが、混乱するがゆえに……この場を立ち去りたいとも思うのだろう。
そのメンバーにつられるように他の何名かも立ち去ろうとしたが、広場から出る事は叶わず、見えない壁に阻まれた。

所謂、行動規制措置だ。
これの本来の使い方は、侵入禁止エリアだったり、システム的にそこを通るとゲーム不備が発生する地点に置かれているものだ。

『……より具体的には十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み――以上の3点だ。
これら、いずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。
……ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制解除を試みた例が少なからずあり、その結果――――』

茅場であろう魔法使いは一呼吸置く。
その間が、聞いている側からしたら物凄く長いと知っていてやるかのように。


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