DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十七話
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」
「助かった……のか?」
困惑した、という表情で、あたりをきょろきょろ見渡す二人。
そして事態はそれだけにとどまらない。
「きゃっ!」
バシィッ!! という音が再び起こり、今度は右側の空間が爆発、そこからコハクが飛び出してくる。
「お、おいっ!?」
思わず抱き留める。すでに騎士装のあちこちは破れ、大小無数の傷が彼女を蓋っていた。
「あ……セモン……?」
「お、おう」
「ごめん……勝てなかった」
「……いいよ。無事でいてくれたならそれで」
そう。
それが一番大切だ。ボロボロになっても、生きていてくれたことが何よりうれしい。
《玉座》の《主》の隣の空間も罅割れて、ガラディーンが姿を現す。
「……倒しませんでした」
「嘘言え、ガラディーン。倒さなかったんじゃなくて、倒せなかったんだろ? ……っていてぇ!」
バシッ、と音を立てて、《主》がはたかれる。
「やっぱり大嫌いです」
「つれないなぁ」
シャノンと同じ顔で苦笑いしてから、《主》はこちらを見て、言った。
「さて……おめでとう、諸君。君は友を救いだした。人は孤独ではないことを証明した」
そして。
やけに厳しげな表情で、続ける。
「――――だが本当にそうだろうか? その手を誰もが望んでいるとは証明できまい? 差し伸べたその手はただの自己満足で終わっているという現実を知らないわけではあるまい? そう――――結局はその程度なのだ。所詮貴様たちの《思い》など、そこで止まるのだ。
故に教えろ。お前は――――どう、思う?」
そう言い放った《主》は、どこか寂しげで。
ああ、こいつも、本当は一人が嫌なんだな、と、セモンは悟った。同時に、《白亜宮》なんてものがあって、彼ら…否、『彼女ら』か……? …が異様な強さを誇る理由も。
彼女たちは、《主》を見守るために居るのだ。たった一人では生きていけない彼を守るために居るのだ。彼女たちが強いのは、《主》の元からいなくならないため――――
白い少年神は、一人ぼっちが大嫌いなのだ。
故に―――否、そうでなくても。
答えは、最初から決まっていた。
「……それでも、俺は手を差し伸べるよ。どうしてもって言うなら、手を差し伸べない。けど、それが結果として『手を差し伸べる』ことになるのはきっと変わらないよ。
自己満足だって? 当り前さ。そんなこと、ずっと前から知ってる。
けど。
それでも。
俺は、一人ぼっちの人を作りたくないと思っている。結局さ、どこかで、俺達の『セカイ』って、繋がってるんだよ。それは、否定できないんだよ。
だったら――――全力で、隣の人とかかわれるように、変わろうぜ
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